1分間で研究発表! My Research ゆめをむすぶ。

ゆめをむすぶ。CASE 3 繆蕾さん

“経済”の研究を、みんなの幸せな生活に役立てたい。

所得の再分配における公平理念

  • 経済学研究科 経済学専攻 博士後期課程 1年次
  • 繆 蕾(ビュウ・ライ)さん
    (※記事内容は取材当時のものです)
繆蕾さん
学部生の時から志した
研究テーマ

学部生の時に、実験経済学について勉強しはじめました。そして2015年に京都産業大学で実施された「さくらサイエンスプラン」の教育プログラムにて、「公平、分配」に関する発表を聞き、関連する論文を読みはじめたことで、「所得の再分配における公平理念」について研究するようになりました。
所得の再分配をする時、様々な要素がその行動に影響しますが、公平だと思う再分配案は人によって異なります。たとえ平等に所得をわけるといっても、労働の結果に応じて所得を分配しても、それは公平な分配とはいい切れません。たとえば、努力して働く人と働かない人に平等に所得を分配すれば、それは公平といえるのか。また、投資で大金持ちになった人と苦労して働く人は、労働の結果に応じて受けた所得に対し、それぞれどう思うのか。実際の状況はこれよりもっと複雑ですが、どんな分配が公平なのか、その分配行動の裏にどんな考えが含まれるのか、その考えに共通点は存在するか、その共通点をモデル化できないか…といったことについて日々研究しています。

繆蕾さん
外国人留学生も
学びやすい環境

京都産業大学の大学院は、研究に必要な設備が整っており、外国人留学生もコミュニケーションがとりやすい環境です。教授は私にとって、海の上で方向や危険などを示してくれる灯台のような存在。お互いに情報を分かち合い、討論し、励まし合える学友は、一緒に海を渡る船のような存在です。また、様々な分野の教授が在籍していることも、大学院の魅力のひとつ。自分とは異なる分野を専門としておられる教授や学生とのコミュニケーションは、自分の研究に非常に役立っています。
大学院は学部と違って授業が少なく、自由時間が多いため、毎日自分で計画的に勉強・研究することが必要になります。自分に甘かったら、すぐに時間がなくなってしまいますよ。また、一日の計画だけではなく、学期、あるいは年度単位の計画を立てることも重要です。このようにスケジュール管理を徹底し、大小の目標を決めておくことで、日々の研究がスムーズになります。

実験経済学

学部生の頃から勉強を始めた「実験経済学」。

人々の幸せをむすぶ
研究成果を目指して

以前、修士論文を書く前の実験データの分析でうまくいかなかったことがありました。この時、私の指導教授は、考え方を少し変えてはどうかとアドバイスしてくれました。私は当初の仮説に基づいてデータを分析し、結論をまとめようとしていたのですが、助言を受けてその仮説自体を変更。そうすることで面白い結果が見えてきたのです。大学院での学びは、物事に対する考え方を変えてくれました。存在する問題や現象に対し、ある一面からだけでなく、様々な面から捉えられるようになったのです。経験を重ねた今となっては、とてもシンプルな思考の選択ではあるのですが、この初心をこれからも忘れずに研究の道を進んでいきたいと思っています。そして、経済学と心理学、神経学などを結び付けて、新しい考え方によって社会問題が解決できるように努力して、この研究が、人々のより幸せな生活に繋がればうれしいです。

The Message
まず、自分がやりたいことは何か、あるいは興味があることは何かということを自分に問いかけてみてください。学位のためや就職を避けたいために、大学院に進学する人もいるかもしれません。私自身、それが悪いこととは思いませんが、研究をしていく過程では想像以上の苦労をすることがあります。研究がうまくいかない時、もしくは落ち込んでいる時に、自分を支えてくれるのは、研究に対する興味や情熱です。もしそれがなければ、研究はつらく、時間の無駄使いになるでしょう。まずはとにかく、楽しく勉強・研究することが大切です。
繆蕾さん