研究紹介

先端情報学研究科 先端情報学専攻 瀬川典久准教授 インタビュー

「狭帯域スペクトラム拡散通信MAD-SS技術を用いたセンサネットワークの構築」

IoTの基礎技術として活用されるセンサネットワーク

私の研究テーマは、「―狭帯域スペクトラム拡散通信MAD-SS技術を用いたセンサネットワークの構築―」です。センサネットワークとは、小型のセンサと小型のマイコンおよびネットワーク装置で構成されたモジュールを空間上に設置し、実社会上の情報を取得し、その情報を処理することで、さまざまな世の中の情報を知ることが出来る仕組みです。近年では、IoT(Internet of Things)の基礎技術として活用されています。

私はこの10年、野外でのセンサネットワークの利用について重点的に研究を行ってきました。その中で、従来の900MHz帯、2.4GHz帯の無線を利用したセンサネットワークでは、十分な結果が得られないと判断し、狭帯域スペクトラム拡散通信MAD-SS技術を用いたセンサネットワークの構築を行っています。 このセンサネットワークは、1mWの電波出力で直線距離が得られた場合、500km以上の通信距離を実現するものです。現在では、LPWA(Low Power, Wide Area)技術として、さまざまな類似技術が開発され、活用されています。

この技術を使い、私は以下の事に取り組んでいます。

(1) 野外におけるセンサネットワークの実験

MAD-SSを利用したセンサノードは、屋外において1mWで開けている平野で10kmの通信が行えます。この特徴を最大限に生かし、野外、郊外で困っている課題に対して、さまざまな研究開発を行っています。里山での気象データの取得、津波検出のための波高センサネットワークの構築、防災のためのシステム、農業用センサネットワークの構築を行ってきました(図1)。

図1 野外におけるセンサネットワークの例1 図1 野外におけるセンサネットワークの例2 図1 野外におけるセンサネットワークの例3

図1 野外におけるセンサネットワークの例

(2) 成層圏気球を活用した広域センサネットワークの構築

Google Project Loonに代表されるように、近年成層圏気球を活用した通信実験の動きが出てきています。成層圏気球とは、高度30km-50km程度に到達する高高度の気球です。衛星通信に比べ打ち上げコストが非常に安く、しかし地上間通信をするのに比べ長距離の通信を行うことが可能です。MAD-SSを用いたセンサノードを成層圏気球に搭載し、実際に500km以上の地上―成層圏気球の通信を実現しています。この仕組みを使い、災害時に地上のセンサネットワークが機能しなくなった場合、成層圏気球を利用した広域センサネットワークの構築を目指しています(図2)。現在は、基本的な通信の仕組みだけが実装されており、今後は、成層圏気球と地上のセンサノードの情報交換の仕組みの構築を行っていきます。

図2 成層圏気球を活用した広域センサネットワークの構築

図2 成層圏気球を活用した広域センサネットワークの構築

(3) 微弱電波を活用した超大量センサノードの環境構築

近年IoT(Internet of Things)の研究が活発に行われています。さまざまな装置に、センサノードを組み込む実験が行われていますが、この研究が進んでいくと、非常に狭い範囲に大量の無線通信が行われることが予想されます。しかし、IoTとして利用する無線通信は、一般の人が使える無線である必要があり、無免許で使える仕組みを提供する必要があります。現在、周波数が2.4GHz, 920MHz等を活用し、研究および実用化実験が進められています。それは、この周波数では、電波を送出するのに、免許が必要ないからです。しかし、センサネットワークが発達し、空間中に多くの電波を発信するとすれば、混信が避けられない状態になると考えられます。そこで、電波法の制限がない微弱電波を活用し、大量のセンサノードと通信する仕組を構築することを目指しています。具体的には、さまざまな周波数をもつセンサノードからの電波をソフトウェア無線機で同時に受信する仕組みの提案とその実装を行います。

新しいことにチャレンジしよう!

インタビュー風景

センサネットワーク、IoTという言葉が、それ自体が特別な研究ではなく、さまざまな研究分野で活用されてきています。また、センサネットワークで得られた大量のデータを効率よく処理し、その得られた見知を正しく活用することが求められています。

もし、当大学院に入学し、センサネットワークを利用する、研究することになったとすれば、新しいことにチャレンジし、世の中に対してインパクトのある結果を得られるように、努力することを期待しますし、私はその努力に対して、最大限協力します。

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