ピックアップ研究室

「数理ファイナンス」数理科学科 伊藤 悠 助教

ランダムな現象を記述する微分方程式
〜ラフパス解析の視点から〜

私が研究しているラフパス解析は、滑らかさの度合いの小さな関数に関する微積分学の理論で、確率微分方程式と呼ばれるものにその起源を持ちます。大雑把にいうと、微分方程式とは、未知関数とその導関数および独立変数を含む方程式といえ、確率微分方程式とは、ランダムなゆらぎが加わった微分方程式といえます。自然界の多くの現象には様々な形でランダムなゆらぎが入っています。その典型例はブラウン運動と呼ばれるランダムな粒子の動きに由来するもので、このようなランダム性は、確率論の言語によって定式化され、数学もしくはもっと広く数理科学の研究対象となります。確率微分方程式の理論はランダムな現象を解析するための強力な手法を提供し、統計学、物理学、生物学、工学、経済学などといった諸分野にも応用されていますが、ラフパス解析は従来の確率微分方程式の理論に新たな視点を与え、従来の理論では解析できなかったような対象にまで応用範囲が拡がり更なる発展が期待されています。

「計算物質科学・ナノサイエンス」物理科学科 内田 和之 准教授

電磁気学の常識「V=I R」が通用しない
ナノサイエンスの不思議に迫る

炭素がサッカーボール状に組み合わさったフラーレンや筒状のカーボンナノチューブなどナノスケールの物質は、マクロスケールの物質とは異なる興味深い性質を示します。中高時代に学んだ電磁気学、例えばV=I R(電圧=電流×抵抗)は、ミクロやナノの世界では通用しないのです。電気の流れる速さや滞留は、原子構造をほんの少し変えただけで劇的に変化します。その性質がどのような理由で現れるのかを量子力学を通して明らかにすることを目指しています。

「単層カーボンナノチューブの 作成・分離・生成とその応用」
物理科学科 鈴木 信三 教授

微小な最先端マテリアル、単層カーボンナノチューブの正体を探り可能性に挑む

未知なる素材に対する2つのアプローチ
研究室において現在、4年次生と取組んでいるテーマは、(1)金属的/半導体的な性質を持つ単層カーボンナノチューブの作製、分離精製及び濃縮、(2) 多孔質ガラス上への単層カーボンナノチューブの作製と応用の2つです。カーボンナノチューブとは、炭素原子が六角形の網目ネットワーク構造を作り筒状になった炭素ナノ構造体であり、直径は1~数nm(1nmは1mの10⁹ 分の1)、長さは数百nm~数μm(1μmは1mの10⁶ 分の1)のものが一般的です。

作製から取組んでこそ明らかになる真実
研究テーマ(1)では、さまざまな太さやねじれ方のカーボンナノチューブが存在する理由について、学生が自らの手で作製、分離精製、濃縮まで行うことで理解しようとするもの。現在、多くの研究室が市販のカーボンナノチューブを実験などに利用していますが、どういった条件のもとに作られたのかが明らかでないと、結果の信憑性が疑われます。カーボンナノチューブを研究室内で作製することには、それを利用した実験結果の信頼度を高める狙いもあるのです。

高品位ディスプレイの実現の可能性
(2)の研究は、イメージとしては微小な穴の空いたガラス板の上にカーボンナノチューブを生やす試みです。これが成功すると全ての光を吸収する完全黒体の作製につながる可能性もあります。また輝度の高いディスプレイや熱伝導に優れた放熱板に応用できるかもしれないと期待しています。これらを研究する醍醐味は、学生自らがモノを作る喜びです。パソコンでのシミュレーションに終始せず、自分でモノを作る喜びは何物にも代え難いものです。また、いずれの研究も物理的だけでなく化学的な手法も利用して進めていきます。物理や数学の基礎を身につけた学生が化学にも興味を持ち意欲的な学びに結びつけていけば、研究者としての将来に役立つ財産となるはずです。
カーボンナノチューブの作製から分離精製、濃縮までを行うことで理解が深まる
変化の様子を肉眼で観察できるのも、この研究の醍醐味
カーボンナノチューブ(単層、先端が閉じたもの)の模型

「気象力学」 宇宙物理・気象学科 高谷 康太郎 准教授

異常気象や気候変動の発生メカニズムを探り
台風や豪雨の被災地域を予測して防災に活かす

異常気象や気候変動が発生するメカニズムを物理的に解明するべく研究を続けています。特に台風や豪雨の予測ができれば、その被害を軽減することが可能。気象状況の将来予測は、人命救助に直結しているといっても過言ではありません。そこで私はあらゆる可能性を探るべく、海洋研究者や雪氷研究者と連携した研究活動も展開中。学生は「エルニーニョ現象が日本に与える影響」や「台風発生件数の違いと理由」などの研究に取り組んでおり、問題発見から考察、行動、解決へとむすびつける力を養っています。

「一般相対性理論・ 宇宙論」宇宙物理・気象学科 二間瀬 敏史 教授

宇宙の成り立ちや天体の形成を理論的、観測的に研究

二間瀬 敏史 教授
重力レンズで目に見えない大きな質量を観測
私自身はこれまで、宇宙の起源や銀河の星々が生まれた歴史を研究してきました。時間や空間の概念をも扱う宇宙物理の研究は、スケールの壮大さ、ダイナミズムが大きな魅力です。研究室は2016年4月にスタートしたばかりですが、将来的は、国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡を使い、遠くの銀河からの光がその手前にある大きな物体の重力によって曲げられる「重力レンズ効果」を観測しようと考えています。重力レンズ効果が働くということは、光を発していなくても、そこに大きな質量があるということ。ブラックホールやダークマターなど、今まで目に見えなかったものがどこにあるのかを解く道標となるかもしれません。まだまだ未知が多い宇宙の神秘に一歩でも近づく、壮大でロマンにあふれる研究です。
研究内容のプレゼンテーションは、回を重ねるごとに円滑に進められる
太陽系における惑星それぞれの軌道を計算し、地球に及ぼす影響を探る
宇宙には未開のフィールドが広がっているだけに、興味深く学べる
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