令和元年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「中間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

「年間計画書」には「(1)公開授業&ワークショップへの参加者数の向上、(2)学生の学びへの意欲向上のための授業改善、(3)学生自身の自己評価の具体化と深化」を目標に掲げた。上記3つの目標に関して、中間報告を行う。(1)は「『学習成果実感調査』についての分析結果」にそぐわないので、(2),(3)について報告する。なお、今回の学習成果実感調査から、講義、演習、実験のカテゴリーに分けて調査を行なった。数理科学科には実験がないため3つのカテゴリーの母集団は異なるものの、回答の数値分布に顕著な差が現れた。主にこの点に基づき、以下のように分析した。

  1. 3つのカテゴリーで顕著な差があることより、学生たちはしっかりと考えて自己評価を実施していると見受けられる。
  2. 講義と演習で比較した場合、設問3(授業1回あたりの事前事後学習の時間を問う設問)に顕著な差がある。事前事後学習の時間を30分未満としている学生の割合が、演習では16%であるのに対して、講義では27%となっている。1時間未満だと演習では38%であるのに対して、講義では52%である。演習科目の方が発表などを求められる分、事前事後学習の時間が多くなる傾向は自然ではあるが、聞きっぱなしの授業ではなく、適宜強制力を伴う課題(宿題)を出す必要性があるように感じられる。
  3. 設問5にも差がある。これは「この授業が目的とする内容を理解できた」という設問で、講義の方は「あまりそうは思わない」と「思わない」の合計が17%であるのに対し、演習では6%になっている。演習科目で、学びの効果が現れていると判断できる数値である。このような演習科目の効果に鑑み、講義科目についても、学生が手を動かすシーンを取り入れることでさらに授業改善が見込まれると考えられる。
  4. 設問7は「この科目で学びの面白さを感じたか」という問いであるが、これは圧倒的に実験科目で評価が高い。ただ、実験科目では設問6の「この科目を受講するにあたり予備知識は十分であった」では、「あまりそうは思わない」と「思わない」の合計が31%あり、演習科目での15%や講義科目の22%に比べて大きい。実験を通して、わかってくることもあるとは思われるが、授業と実験をうまく連動させていくことで、さらに学生の意欲が高まるのではないかと期待できる。
  5. 設問11の「TA・補助員は授業の役に立っている」という質問に関し、「強くそう思う」と「そう思おう」の合計を見ると、実験科目が94%、演習科目が60%であるのに対し、講義科目では43%であった。実験や演習においてはTA・補助員が有効に働いていることが確認された。講義科目の43%という数値は低い値ではないが、さらに有効活用することで、学生の学習効果向上につなげられる余地があると思われる。
  6. 記述解答欄については、教員によって差が見られる。学生自身の説明力の育成にもなるので、実感調査の時には必ず書くように口頭で指示する必要があると思われる。「授業を聞いているうちに、前やったことと内容がリンクしていく感じが面白かった。」といった学びの繋がりを自己省察している記述や、「マクローリン展開が面白かったので、興味をそそられた。応用が効いていろんな複雑な問題が解けるので面白かった。」といった具体的な記述が徐々に増えている印象にある。このように一定の成果も感じられるので、記述欄への書き込みの深化については、引き続き重点事項として参りたい。
  7. 高校で物理を学習していないことや、数Ⅲの知識が十分身についていないため予備知識が不十分で、理解が進まなかったという記述が見られた。これは昨年度からの課題であるが、引き続き検討していきたい。
PAGE TOP