教員紹介鈴木 信三

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鈴木 信三SUZUKI SHINZO

理学部 物理科学科 教授

専門分野
物理化学

担当科目

物理科学特別研究1・2、物理学実験Ⅱ、物理学実験Ⅲ、物理学最前線、原子・分子物理学、化学通論A、化学実験、基礎化学実験、物性・材料実験講座Ⅰ、物性・材料実験講座Ⅱ、実験物理学講座Ⅰ、実験物理学講座Ⅱ、宇宙工学基礎、現代科学入門、キャリア実習(大学コンソーシアム京都連携型)

プロフィール

1985年:京都大学大学院理学研究科修士課程(化学専攻)修了
1985~1990年:岡崎国立共同研究機構 分子科学研究所 文部技官
1990年:京都大学にて学位取得(理学博士)
1990年~2005年:東京都立大学 理学部化学科 助手
2005年~2006年:(改組により)(独)首都大学東京 都市教養学部化学コース 助手
2006年~2007年:京都産業大学 理学部物理科学科 助教授
2007年~2008年:同 准教授(学校教育法改正により名称変更)
2008年~:同 教授

研究内容

炭素原子だけからなるナノ構造体には、正四面体型の”ダイヤモンド”や、平面層状構造をもつ”グラファイト(黒鉛)”など、様々な形態(同素体)があります。20世紀の終わり頃、サッカーボール型構造をもつC60分子や、グラファイトシートを丸めて筒状にした”単層カーボンナノチューブ”が発見されて、新たな同素体の仲間が増えました。これらの物質群は、サイズ(直径)やその幾何学的配置が異なることにより、物理化学的性質が大きく変化します。こうした炭素ナノ構造体がどのようにして生成するのかを理解すること、またそれぞれの構造体を区別して選択的に作製(あるいは生成後に他の構造体から分離)してその応用を考えることが、現在の主な研究テーマになっています。

特別研究(ゼミ)テーマ・内容

炭素ナノ構造体の物理化学

フラーレン(C60)やナノチューブなどの炭素ナノ構造体はさまざまな物理化学的性質をもちます。例えば特定の幾何構造をもつ単層カーボンナノチューブだけが金属的性質を示します。こうした物質群の作製・分離精製を行い生成過程の理解と応用を目指します。


特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

微小な最先端マテリアル、
単層カーボンナノチューブの正体を探り可能性に挑む

未知なる素材に対する2つのアプローチ

研究室において現在、4年次生と取組んでいるテーマは、(1)金属的/半導体的な性質を持つ単層カーボンナノチューブの作製、分離精製及び濃縮、(2) 多孔質ガラス上への単層カーボンナノチューブの作製と応用の2つです。カーボンナノチューブとは、炭素原子が六角形の網目ネットワーク構造を作り筒状になった炭素ナノ構造体であり、直径は1~数nm(1nmは1mの10⁹ 分の1)、長さは数百nm~数μm(1μmは1mの10⁶ 分の1)のものが一般的です。

作製から取組んでこそ明らかになる真実

研究テーマ(1)では、さまざまな太さやねじれ方のカーボンナノチューブが存在する理由について、学生が自らの手で作製、分離精製、濃縮まで行うことで理解しようとするもの。現在、多くの研究室が市販のカーボンナノチューブを実験などに利用していますが、どういった条件のもとに作られたのかが明らかでないと、結果の信憑性が疑われます。カーボンナノチューブを研究室内で作製することには、それを利用した実験結果の信頼度を高める狙いもあるのです。

高品位ディスプレイの実現の可能性

(2)の研究は、イメージとしては微小な穴の空いたガラス板の上にカーボンナノチューブを生やす試みです。これが成功すると全ての光を吸収する完全黒体の作製につながる可能性もあります。また輝度の高いディスプレイや熱伝導に優れた放熱板に応用できるかもしれないと期待しています。これらを研究する醍醐味は、学生自らがモノを作る喜びです。パソコンでのシミュレーションに終始せず、自分でモノを作る喜びは何物にも代え難いものです。また、いずれの研究も物理的だけでなく化学的な手法も利用して進めていきます。物理や数学の基礎を身につけた学生が化学にも興味を持ち意欲的な学びに結びつけていけば、研究者としての将来に役立つ財産となるはずです。

カーボンナノチューブの作製から分離精製、濃縮までを行うことで理解が深まる
変化の様子を肉眼で観察できるのも、この研究の醍醐味
カーボンナノチューブ(単層、先端が閉じたもの)の模型

受験生・在学生へのメッセージ

物理・数学の基礎を十分に学んだ上で、より広い分野(化学、物質科学)にも関心を持てるような人の受験・来研を歓迎します。

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