学部長メッセージ

最高の環境で最先端の教育・研究を

総合生命科学部 学部長
寺地 徹

京都大学農学部農林生物学科卒業後、同大学農学研究科修士課程、博士後期課程に進学・修了。農学博士(京都大学)。その後、京都産業大学国土利用開発研究所、工学部生物工学科を経て、2010年より総合生命科学部生命資源環境学科教授、2017年に学部長就任。専門は植物分子遺伝学。コムギやダイコンなどのミトコンドリアゲノム解読に取り組む。

総合生命科学部:「生命」の本質的な理解を目指して

総合生命科学部は、今から7年前、昨今の生命科学の著しい発展に対応するため、旧来の工学部生物工学科を大幅に改組・拡充して誕生した、当大学で2番目に新しい学部です。その際、新たに多数の教員を迎え、研究分野を広げたことで、現在は「生命システム学科」、「生命資源環境学科」、「動物生命医学科」の3学科を擁する、充実した教育・研究体制を持つ学部となっています。
この学部は、あえて名称に「総合」を冠したことからもわかるように、「生命」をいろいろな角度から総合的に理解できる人材の育成を、教育と研究の根本に据えています。
では、生命の総合的な理解とは、どのようなことを指すのでしょうか。一例として、一匹のマウスを考えます。このマウスを解剖すると、大腸などの器官が認められます。次にその器官を顕微鏡で観察すると、上皮などいくつかの組織から構成されていることがわかります。続いて組織をばらばらにして培養すると、生きた細胞が得られますが、この細胞、実はタンパク質や水など大小様々な分子が、何らかの規則性をもって集合したものです。しかし、生命が宿っていない単なる分子から、どのようにして生きた細胞が生まれるのでしょうか。また、ただの細胞の集まりを超越したマウスという存在は、どうして成り立ち得るのでしょうか。これは非常に難しい問題です。生命の本質のひとつに階層性という概念がありますが、それぞれの階層を研究するだけでは、決して生命の理解は得られません。ここに生命を総合的に考える必然性があります。
一方、マウスの「生命」をマクロな視点から捉えることも可能です。例えばマウスは、Mus musculsという「種」に分類されますが、同じげっ歯類のラット(Rattus norvegicus)とは種が異なり、それぞれ違った生活を営んでいます。しかし進化的にみれば、両種は1200~2400万年前に共通の祖先から分岐したことが推定され、もとは同じ仲間でした。さらに時間を7500万年前まで遡ってみれば、両種の祖先は、我々ヒトの祖先とも共通です。いったい何がマウスとラットを分けたのか、またヒトも含めてこれらの種では何が共通で何が違うのか(普遍性と多様性)、とても興味深い問題で、その理解にも「生命」を総合的に考えることが必要となります。総合生命科学部では、このように一筋縄ではいかない「生命」の本質的な理解を目指して、日々さまざまな研究が実施されています。

特色を持った3学科:学科間の連携で充実した教育環境を提供

「生命システム学科」では分子、細胞、組織、個体レベルまでを統合し、生命を一つの巧妙なシステムととらえて生命の謎を探るとともに、そのシステムが破綻することで生じる各種疾病の研究を進めます。「生命資源環境学科」では、地球の限りある生物資源をどのように人類に役立てることが可能か、植物・動物など、生物の機能的な解析から遺伝的多様性を維持する方策まで、地球環境を意識した研究を展開します。「動物生命医科学科」では、新型インフルエンザなどのウィルスや細菌など人類の生存を脅かす感染症を強く意識し、動物を対象としてさまざまな病態の解明を目指します。
本学部では、これら3学科の特徴が最大限に活かされた専門性の高い科目が開講されているのと同時に、学科間の壁を超え、広く「生命」を学ぶ環境が提供されています。

徹底した少人数教育:研究の醍醐味を経験して下さい

本学部では、専任教員1名に対して、学生が3~4名という徹底した少人数教育が実施されています。また多くの若手研究員も在籍し、全体として充実した教育・研究環境が提供されています。教員の研究テーマは多岐にわたりますので、自分の希望にあう研究を見つけ、専門的な知識・実験技術を修得することが可能です。もちろん教員は、それぞれの分野で優れた業績をあげた方ばかり。研究力に裏づけされた迫力のある講義を受けることができます。本学部では、研究と教育の一体性を重視しており、確かな基礎知識の上に、豊かな専門知識を有し、さらに問題解決能力を備えた、真の「知の体力」を身につけた学生を育成することを目指しています。

総合生命科学部でともに学び、研究の醍醐味を味わいましょう。

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