平成29年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

本年度の学部重点テーマは、「事前事後学習を強化する授業方法」とし、基礎知識の修得と定着に必要である自主学習を促進することに力を入れた。平成27年度から29年度にかけて、事前事後学習に費やした時間についての学部全体の評価値が春学期では、2.06, 2.26, 2.37、秋学期では、2.26, 2.38, 2.59と推移しており、一定の成果が得られている。反転授業、レポートの提出、前回の授業内容についての小テストを導入する教員の数が増えたことなどによるものと考えられる。しかし、科目履修を通した学生の「興味」、「成長感」、「満足度」については、評価値が増加しているとは限らず、また学習達成度が改善されているか、現時点では不明である。

2.「公開授業&ワークショップ」についての報告

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:12月21日(木):細胞生物学(中村 暢宏 教授)教員数11名
  2. 「ワークショップ」:12月21日(木)開催:6名

(2)ワークショップでの意見交換内容

反転授業を取り入れた授業についての意見交換:予習シートを用いた事前学習の誘導と、多くの学生に質問しながら授業を進めていくことにより、学生の勉強に対する意識の向上が見られているようだ。また、学生に質問することにより、当人だけでなく他の学生にも考える機会を与えており良いのではないか。講義では教科書の内容の一部しか説明できないが、明瞭に事前学習の範囲を指定していることから、意欲のある学生はより詳細な内容を自分で勉強できる点が良い。各章が終わるごとに小試験を行っており、事後学習も期待できる。
他の関連科目と内容が重複するところもあるが、伝える情報量が多いことから複数回教えても特に問題はなく、情報の定着化が図れるのではないか。事後学習の促進のために、授業内容の中から項目を定めてレポートを毎回Moodleに提出させることも有効であろう。

3. 総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

本学部の授業・カリキュラムの長所という内容で総括することは難しいが、多くの教員が膨大な知識の伝達法を考え、講義内容に即した授業形態を選択している。また、事前事後学習を念頭においた工夫を取り入れるようになっている。

(2)1と2において確認された改善すべき点

事前事後学習の効果が、学生の「興味」、「成長感」、「満足度」に反映されるとは限らない。両者の間をいかにつなぐかを考える必要がある。

4. 次年度に向けての取り組み

次年度は、新たな教育方法の導入、および事前事後学習の強化を中心に取り組む。その際、後者については、学生が意欲を持って自主的に事前事後学習を行うためには何が必要かを考える必要がある。また、従来、公開授業については学科間で順番に秋学期担当の教員を指名してきたが、今後は学科および学期にこだわらず、教育方法に意欲的な試みを導入している教員、担当科目に対して学生の満足度が高い教員を優先して指名することも考えたい。
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