平成30年度 秋学期 公開授業&ワークショップ 実施報告

1. 法政策基礎リサーチ

1. 実施日時

  1. 公開授業:平成31年1月9日(水)13時~16時20分(4クラス合同)
  2. ワークショップ:平成31年 1月 9日(水)16時20分~16時40分
    その後、メール上でも意見交換を実施

2. 実施場所

13号館1階各教室等

3. 科目名

法政策基礎リサーチ(担当教員:久保 秀雄 准教授、芝田 文男 教授、中井 歩 教授)

4. 参加者数

  1. 公開授業:
    学生数 法政策基礎リサーチ受講1年次生約110名
    SA約20名が参加
    参観教員6名
  2. ワークショップ:参加教職員5名

5. 内容

(1)公開授業について[授業の概要]

  • 「法政策基礎リサーチ」は、平成27年度からの新規開講科目で、法政策学科における初年次教育であり、平成30年度からは法政策学科の初年次導入科目として選択必修に位置づけを変更されている。2年次生科目のフィールドリサーチに向けての準備的側面を持つ。法政策学科の初年次導入科目としての重要性から、その検証および今後の方向性を検討することも兼ねて今年度も実施することとした。
  • この授業は同一シラバスで4クラス開講がなされている。
  • 半年間のトレーニング(「アクションリサーチⅠ」久保担当)を積んだSAがチーム(5〜9人)となって、各クラスに入っていることが大きな特徴である。
  • 授業内容については担当教員間ですりあわせをしているほか(但し、個別の内容やグループワークの形態などはクラスの規模などによって変えている)、SAも教育内容や教材づくりに積極的に関与して展開している(「アクションリサーチⅡ」久保・芝田・中井担当)。
  • 「法政策基礎リサーチ」では、受講生に政策学の基礎を学ばせながら、グループワークによる政策提言を3回行わせることで、企画立案能力や班内で相談してまとめ、発表するコミュニケーション能力を習得させることを目的としている。
  • 公開授業の1月9日の合同ポスターセッションでは、4つのクラスが一堂に会して、ミニ発表と質疑応答を行った。

(2)ワークショップ[意見交換の内容等]

  • 13号館の3教室を借りて開催した。昨年混雑により学生のスムーズな移動に支障が生じたため、机・椅子の整理等、発表する場所の動線スペースの確保に努め改善が見られた。
  • グループ発表の精粗に差がある。内容の他、パワーポイントの図表、絵等による表現方法、プレゼンの仕方(スマホに書いた原稿を読み上げる者と参加者の反応を見つつ説明、質疑を行う者)など様々な差がある。下位層の底上げがどこまでできるのかが、引き続き今後の課題である。
  • 合同ポスターセッションの内容は、年末の授業でのクラス内発表時に一度、教員・SA・他の班の学生の質疑・意見による批評を経ている。今年はその回の次の授業内で指摘を受けた修正を行わせたクラスが増えた。そのことによって少し改善が見られた班が多かった。
  • 合同ポスターセッションでは発表は活発にできていた。参加教員からも生き生きした発表を見て、ゼミでのPBLの取り入れを検討したいという意見、法律学科生にも参観できると良い刺激になるのではという意見もあった。昨年は、担当教員の他の授業(法社会学)の参加学生が授業の一環として、参加し各班の発表への質疑・評価に加わってくれた。このような形での無理のない参加もあるかもしれない。
  • 班内で発表する側と他のクラスのポスターを見て質問する側に分けて、2時限の間で6~8回以上の発表の機会を与えている。この結果12月に行った各クラスのクラス内発表では一部のコミュニケーション能力の高い学生が主として発表していたのに対して、全員がまがりなりにも発表の経験をし、一定の自信を得たようだ。
  • 教員が「よく調べている」と評価していた班の発表が、受講生(1年次生)からも多くの票を得ていた。評価基準を表にして、基礎知識でもその内容を取り上げたことで、政策基礎知識についても理解が進んでいると思われる。
  • SA主導による運営で参加学生も含め、学生が自分たちで動いていることは素晴らしいという意見があった。担当教員からも年々運営がスムーズになっているが、これはアクションリサーチⅠ・Ⅱ等を通じて、クラス内での指導や豆知識の発表も含めてSAに主体的に運営させる方法が、うまく働いているからであるという説明があった。また、SAの中には2年次生、3年次生がおり、自分たちが1回で授業として受けた経験も含めて複数年次で受講生、SAとしての参加の中で、授業運営の方法やノウハウの伝達がなされていることの成果かと思われる。

2. 法教育演習Ⅰ

1. 実施日時

  1. 公開授業:平成31年1月11日(金)15時~16時30分
  2. ワークショップ:平成31年1月11日(金)16時45分~17時55分

2. 実施場所:

13号館3階13321教室

3. 科目名

法教育演習Ⅰ(金曜4限開講クラス、担当教員:増井 敦 准教授、高畠 淳子 教授)

4. 参加者数

  1. 公開授業:
    学生(受講者)16名、担当教員2名、
    参観教員4名、大学院生1名、教育支援研究開発センター職員1名
  2. ワークショップ:
    教員6名、教育支援研究開発センター職員1名

5. 内容

(1)公開授業について[授業の概要]

  • 「法教育演習Ⅰ」は「プレップセミナー」に配属されるSAを育成することを主な目的にした、演習科目である。そのため、「プレップセミナー」について担当教員との協働の在り方、科目内容と受講生との関わり方などが当該科目の重要なテーマであり、あるべき「プレップセミナー」のかたちを考える課題解決型学習という側面を持つ。法学部におけるユニークな(SA育成、課題解決型の側面)授業であること、SA候補の受講生と法学部教員がより良い授業について考える機会となることが、本科目を公開授業に選定をした理由である。
  • この回のテーマは、「ロールプレイによる実践」であった。具体的には、①SA活動に含まれるファシリテーションの目的およびファシリテータの心得について担当教員により確認がなされたうえで、あらかじめ用意した4つのケースについて「SAとしてどう振る舞うか?」のロールプレイを行う旨説明する。②受講学生は4つのグループに分かれ、SA役と学生(1年次生)役を必ず1回ずつ担当するように、各グループがどのケースを担当するか決定する。③ロールプレイに先立って、SA役の担当グループは学生役にどのような対応をすべきかを決定し、実演の準備をする。④あるケースについて実際にロールプレイの実演を行い、グループで決定した対応を発表する。学生役およびその他の2つのグループはフィードバックを担当する。⑤SA役、学生役およびその他の2つのグループとの間で、実演についての質疑応答を行う。⑥残りのケースについて③から⑤を繰り返す。すべてのケースの実演終了後に、⑦全体での振り返り(参観教員からのコメントを含む)を行った。

(2)ワークショップについて[意見交換の内容等]

  • まず担当教員より、今回の公開授業において実施した内容は、ファシリテーション演習として実施する最後の3回の授業のうちの1回との位置づけであるが、そこでの目的はファシリテーションのスキルの修得というより、その心構えを身につけ、実際の練習を行う、というものであるとの説明があった。これを受けての意見交換は多岐にわたったが、主として以下の各点が挙げられる。
  • SAとなる学生の能力・適性等には個人差があり、ファシリテーションが得意でない学生もいる。そのようなSAには、主として提出課題の添削やコメント付与などを任せることになるが、この点については「プレップセミナー」の各担当教員の方針によるところが大きい。SAはパッケージコースの内容については把握しており、また、SAは観察レポートや直接口頭で担当教員に連絡してくるので、それらをもとにSAに任せる内容の摺り合わせを行う必要があろう。
  • 入学直後の1年次生は学習に対して概して受け身であるが、そこからSAになろうとするというのは「能動的になる」ということであるから、ものの見方や関わり方を180度変えないといけないことを意味する。本科目の受講により、それまでの「プレップセミナー」受講者として「SAにいろいろとやってもらってうれしい」という気持ちから、「SAとしていろいろとやらなければならない」という意識への変化を促すことになるが、そのためには教員としてはなるべく学生からの意見を拾う姿勢を取る必要がある(そうしないと学生が教員の「指示待ち」の姿勢を取ってしまうため、学生との根比べの側面がある)。このような姿勢を教員側が取るのは困難ではないかとの意見もあったが、その点の不安はない。ただ、「プレップセミナー」においては学習の作法・型を身につけさせるという科目の性質上若干異なる点もある。
  • 法学部では学生にこういうことを身につけておいてほしい、ということを、教員間においてどのように共有するのか。「プレップセミナー」や本科目にはそのような機能があるはずである。また、「プレップセミナー」の内容を把握していると1年次秋学期開講の「ファンダメンタル・セミナー」でも指導しやすく、そこで「プレップセミナー」で身につけかけた作法・型を少しでも扱ってくれるとその先の学習に役立つはずである。他方、「プレップセミナー」は(それがうまく機能すればするほど)担当教員にとって心理的ハードル・負担感が高くなっている。また開講時限等といった他の困難な課題も存在する。
  • 今後の課題としては、SAの候補となる学生の確保の問題がある。「法教育演習Ⅱ」においては、1限の「プレップセミナー」において知らない担当教員と20数名の1年次生を前にSAを担当することとなるので、それなりにハードルが高く、その自信がない学生が残らない傾向がある。他方、SAを希望する学生が増えれば「法教育演習Ⅰ」のクラス数も担当教員も増やすことが可能となり、SAの養成数の確保にとっても教員間の情報共有にとっても望ましいと思われる。

3.まとめ

[活動の効果を高めるための今後の方策など]

  • ワークショップでは、公開授業の対象となる授業の選定理由について、昨年と同様に質問があった。法学部内の実験的授業形態としての検証の意味から、ここ数年同じ授業としている。今後の対象については、FD委員会内でも議論していきたい。
  • 教員間での情報共有は重要であるので、公開授業やワークショップ等には多くの教員に来ていただきたい。教授会等で開催日時を告知し参加を促すとともに、学部内の各種会議などの機会をとらえて、ワークショップでの議論を紹介するなどの形で、少しずつでも授業改善の試みを情報共有し、意見交換を重ねることが必要であろう。
  • 他の学部の公開授業の情報等、学部間のFDのグッド・プラクティスの情報の相互提供や広報が重要ではないかとの意見があった。
  • また学部を支え教育研究を活性化するパートナーである職員の方々にも参加を促してはどうかという意見があった。
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