平成30年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「中間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

「この科目で主体的に学習した」(強くそう思う+そう思う)と回答した者が、「プレップセミナー」および(プレップセミナーを除く)「AL科目」の両方において、60%を超えている。とくに80%以上の出席者においては、いずれも70%以上である。また、「その他」の科目(講義科目)においても、主体的に学習した(強くそう思う+そう思う)と回答した者が、40%を超えた。法学部で近年おこなってきたActive Learning重視のカリキュラム改革は主体的な学習態度の形成を促すことを目的としてきたが、そのような学習態度が定着しつつあると評価できるのではないか。
「プレップセミナー」において、「学びの面白さを感じた」「主体的に学習した」「自らの成長を実感することができた」「総合的に満足している」「法学部の学びについてイメージをもつことができた」「自分の将来について考える機会をもつことができた」の各項目について、「(強く)そう思う」とする回答者の割合は、昨年度とほぼ同程度である。初年次教育(導入教育)として主体的な学習態度の形成を促すこの科目の役割が定着してきたとも評価できるが、1回あたりの準備学習が1時間を超えていると回答した者が、昨年度までと異なり、50%を割り込んだ点はやや気がかりである。今後も継続的に観測していく必要があろう。
「AL科目」においては、昨年度の調査において「主体的に学習した」「自らの成長を実感することができた」の項目で「(強く)そう思う」とする回答者の割合が前年度と比較してやや減っていたが、今年度の調査結果ではほぼ回復したといえる。引き続き、主体的に学習することができるようにAL科目の内容を検討していくべきであろう。

2.「公開授業&ワークショップ」についての成果報告

「公開授業&ワークショップ」は春学期に実施していないが、研修会を実施したため、それについて報告する。

日時:6月20日(水)16時~17時15分
テーマ:SA協働型授業等についての情報共有
趣旨:法学部では、「プレップセミナー」「法政策基礎リサーチ」「法教育演習I~III」などのSA協働型授業を設けて、近年進めてきたAL科目重点化に向けたカリキュラム改革の重要な柱のひとつとしている。これらの科目での取り組み及びカリキュラム改革のねらいや経緯について、近年の新規採用教員も含めて学部内で情報共有をはかるため、研修および意見交換のための会をおこなった。
参加者:法学部教員28名

内容

中井歩教授を講師にむかえ、「プレップセミナー」(初年次ゼミ)および「法教育演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の事例をもとに、法学部においてSA(Student Assistant)協働型授業を設置し改編してきた過程について情報共有した。
その要約は次のとおり。「プレップセミナー」には、担当教員ごとに内容にばらつきがあるなどの課題があったが、法学部での学習に必要な基礎的能力を学生に修得させるために、内容を厳選して(論理的な文章を読む・書く、論理的に話す・聞く。現実の社会問題への関心、および議論によってより良い答えに向かおうとする態度)パッケージ化し、担当教員で共有するとともに、先輩学生であるSAを導入した。また、SAを養成し、実践する科目として「法教育演習」を設け、模範的な先輩学生として下級生をサポートする能力・意欲等を養うこととした。その後、「法教育演習Ⅰ」もSA協働型授業とするべく展開中である。初年次学生およびSA自身にとって、その教育上の効果は上がっていると考えられるが、プレップセミナーでの学習の意義について初年次生にも理解を広げていくことが課題である。
この報告をもとに、意見交換をおこなった。そのまとめは、次のとおり。
「プレップセミナー」「法教育演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」などのSA協働型授業を設け、学生に学習のための基礎的な能力を修得させて、自ら主体的に学習する内容のAL科目に重点を置いて法学部での教育を充実させていくことに、法学部教員の間でおおむねコンセンサスはあると考えられる。
課題としては、学生間の能力・関心のギャップや上級科目との関係に注意して、プレップセミナーにおいて修得すべき基礎的能力について継続的に検討すること、また、プレップセミナーでの学習の意義を受講者に浸透させていくことが挙げられる。
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