平成29年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

「プレップセミナー」および(プレップセミナーを除く)「AL科目」の両方において、昨年度までに続いて、1回あたりの準備学習が1時間を越えていると回答した者が半数以上である。また、主体的に学習した(強くそう思う+そう思う)と回答した者も、両科目群ともに60%を超えている。主体的な学習態度の形成を促すというActive Learning重視のカリキュラム改革の目的をある程度達成し、それが定着しつつあると評価でき、このような方向性を今後も進めていくべきであろう。
「プレップセミナー」においては、昨年度と比較して、「主体的に学習した」「自らの成長を実感することができた」「総合的に満足している」「法学部の学びについてイメージをもつことができた」「自分の将来について考える機会をもつことができた」のいずれの項目でも、「強くそう思う」+「そう思う」とする回答者の割合が増えている。初年次教育(導入教育)として主体的な学習態度の形成を促すこの科目の役割が定着してきたとも評価でき、今後も継続的に観測していきたい。
「AL科目」においては、昨年度と比較して、「主体的に学習した」「自らの成長を実感することができた」の項目では、「強くそう思う」+「そう思う」とする回答者の割合がやや減っている(それでも70%程度はあるが)。「学びの面白さを感じた」や「総合的に満足している」の項目では変わらないように見えるが、主体的に学習することができるようにAL科目の内容を検討していくべきであろう。
秋学期調査での「講義科目」においては、「科目での学びに面白さを感じた」の項目について「強くそう思う」+「そう思う」と回答した受講生が68%(出席率80%以上では7割超)を占めているのに対して、「自らの成長を実感することができた」(強くそう思う+そう思う)とする者と「主体的に学習した」(同)とする者はそれよりも低く、昨年度と傾向は変わらない。ただし、昨年度調査と比べると、「面白さを感じた」、「成長実感」および「主体的な学習」のいずれの項目についても、「強くそう思う」+「そう思う」と回答した者の割合は増加しており、ポイントは改善している。Active Learning重視のカリキュラム改革の効果が講義科目にも及んできたと評価するにはまだ早いが、継続的に観測していきたい。

2. 「公開授業&ワークショップ」についての報告 

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:「法政策基礎リサーチ」のべ11名、「法教育演習I」2名
  2. 「ワークショップ」:「法政策基礎リサーチ」5名、「法教育演習I」2名

(2)ワークショップでの意見交換内容

3. 総括

(1)1. と2. において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

本学部では、初年次・少人数科目である「プレップセミナー」をはじめとしたAL科目を充実させることを通じて、学生が主体的な学習のしかたを身につけ、より主体的・意欲的に法学部の科目に取り組むことができるようすることを目指してきた。AL科目を通じて主体的・積極的な学習態度を身につけた学生は、AL科目以外の講義科目等でも、主体的に履修選択を行って学習できるようになり成長していくことが期待され、講義科目を含めた法学部の授業全体の改善につながることを期待している。
本年度の上記活動においても、「プレップセミナー」などのAL科目においては、主体的な学習態度や学習習慣のスコアが良いことが確認され、成長の実感についても同様の傾向が見られる。また、講義科目においても、l科目充実化による主体的な学習への波及効果を期待できる程度には、改善の傾向が見られる。学生をSAとして育成し、そのSAが下級生向け授業に参画する授業形態についても、主体的な学習に向けた好循環をもたらしているものと評価できる。

(2)1. と2. において確認された改善すべき点

AL科目の充実化の方向を今後も進めていくべきだと考えられ、各教員が工夫して学生の主体的・意欲的な学習に向けての取り組みを進めているが、各科目で教員がおこなっている授業での取り組みに関する学部としての組織的な情報共有に課題があることが確認された。学部内の各種会議などの機会をとらえて、各科目担当教員による活動・議論を紹介するなどの形で、少しずつでも授業改善の試みを発信し、学部での議論を重ねることが必要であると思われる。

4. 次年度に向けての取り組み

次年度よりは、AL科目重点化の方向を進め、コース制を採用した新カリキュラムがスタートする。そのため、引き続き、AL科目についてその教育効果を継続的に把握していく。具体的には、引き続き春学期には「プレップセミナー」を中心に、秋学期には(主体的な学習ができるようになっているかについて知るために)「講義科目」を中心に、調査を行って基礎的なデータの収集をしていく。また、各科目における授業改善活動に関する情報共有に課題があることが確認されたことから、組織的な情報共有の機会を設けるべく検討していきたい。
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