米虫 圭子 さん

略歴

京都産業大学外国語学部英米語学科卒業。
カリフォルニア州立大学大学院言語学科修士課程修了。
米国私立大学院臨床心理学科博士課程前期修了。
現在、京都産業大学学生相談室主任カウンセラー(臨床心理士)。

私は京都産業大学を卒業後、アメリカに留学しました。当時は、「バックパックを背負って一日○千円で欧米を貧乏旅行する」というのが学生の間で流行っていたころで、実際に先輩や友人が何人もアメリカやヨーロッパの一人旅をし、興奮した面持ちで自分たちが経験した出来事やその土地で出会った人々の話をするのを、非常にうらやましく思いながら聴いていました。「いつかは自分もアメリカに行きたい」という気持ちは卒業を目前にした時も変わらず、結局就職活動をせずに一年間アルバイトで貯めたお金で飛行機のチケットを買ってアメリカへと旅立ちました。 渡米後、大学に編入して英語を使って生活をする難しさを実感しました。日本では文法をしっかりと学んでいたので、書いたり読んだりするのはあまり不便を感じなかったのですが、会話は簡単な英語でも聞き取れなかったりスムースに口に出せなかったりして悪戦苦闘の毎日でした。大学の近くで数名のアメリカ人ルームメイトと一緒に生活をしながら、言葉だけでなく文化の違いを学びました。また、様々な国からの留学生と交流を持ち、アメリカのことだけでなくヨーロッパや南アメリカ、そして極東の国々について多くのことを学びました。

留学から戻ってから日本で英語と日本語を教えているときや、その後再び渡米して大学と短大で日本語教師をしているときによく思い出したのは、京都産業大学での授業でした。自分が実際に教える立場になったときに初めて大学の先生方がどのような工夫をされていたのかを実感しました。実際の英語のニュースの聞き取りや英文記事を読み理解するなどの時間があり、いまから思えば先生方が様々な工夫をして、本当の英語に触れさせてくださっていたんだととても感謝しています。その時はネイティブ英語の聞き取りが苦痛でクラスメートに頼ってばかりでしたが、留学中にはそのことをとても後悔しました。また、その頃のことでとても印象に残っていて、留学生活にも役立ったのがネイティブの先生方の存在でした。在学生のみなさんには想像するのが難しいかもしれませんが、私が学生の頃は外国の方と接する機会というのはほとんど無かった時代でした。今では教授になられたトーマス・ロブ先生は毎回大変楽しい授業をして若者(その頃は!)らしい視点で私たちと接していただき、まるでお兄さんのように学生たちに慕われていらっしゃいました。そんな交流のおかげで、アメリカで実際に外国人と生活をしていても違和感はありませんでした。

アメリカの大学を卒業するころには、日常生活に困らない程度の英語を習得することができました。帰国してからも、日本に住んでいるにも関わらず英語がとても上達しました。これは、日常生活で英語に接する時間を意識的に増やしたおかげだったと思います。仕事柄お付き合いをするのはほとんど外国人の方か、留学経験者の方ばかりだったため、自然に毎日英語を話す場面がありました。留学から帰国した後で、せっかく学んだ語学を忘れてしまいそうで不安になるということを良く聞きますが、その国に住んでいなければ語学が上達しないというものではありません。もちろん、言語を使いこなすにはその国の文化にも触れる必要があると思いますが、きっと日本にいても様々な工夫ができるのではないでしょうか。

教師を十数年した後、心理学に興味を持ち勉強をして現在この大学の学生相談室カウンセラーとして勤務しています。今の職業は、一見この大学で学んだ英語には関係の無いものに思われますが、やはり英語ができることによって様々な可能性が広がったのではないかと思っています。どの言語であっても、言語学習の最終目的は「それを使って何かをすること」です。心理学分野で非常に進んでいるアメリカの大学院で学ぶことができたのも、英語を習得していたおかげだと思います。最初は言語そのものの習得かもしれませんが、上達してくると「何をしたいのか」を考える必要が出てきます。在学生のみなさんには「自分が英語(言語)を使って何をしたいのか」を今もう一度考えていただければ、きっと言葉を学ぶ楽しみを感じていただけると思います。

真面目な学生ではなかった私がこうしてみなさんに近況をお知らせできるのも、「学ぶ楽しみ」を教えてくれた京都産業大学での日々があったからだと感謝しています。在学生のみなさんの大学生活が楽しく思い出深いものになることを心からお祈りします。
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