塩谷 明代 さん

略歴

1985年 京都府立桂高等学校卒業
1990年 京都産業大学外国語学部英米語学科卒業
(1988年~1989年 マセイ大学交換留学)
(2007年9月現在)
2005年秋に一年間の英国バース大学院修士課程を修了し、帰国後、半年間、東京でフリーランスの通訳を経て、06年春から「サイマル・インターナショナル」専属通訳を務めています。大学卒業後は、数年、京都府立高校の英語教員を勤め、その後、外資系製薬会社(大阪)に転職。ここでの社内通訳が本格的な「通訳業」のスタートとなりました。

サイマルでは「会議通訳」をしています。担当する分野は政治、金融・ビジネス、医学・製薬などと広範で、依頼主も官庁や大学、企業・財界、各種団体と幅広く、日々テーマの違う仕事は刺激的でもあります。ただ、その分、十分な準備が求められる仕事です。膨大な資料に目を通し、分野によっては専門書を買い求め、時間を割かなければなりません。最近では国連の刑事司法に関する業務があり、各国の法曹関係者を前に馴染み薄い法律用語に難渋しているところです。 通訳に興味を抱いたのは、産大在学中のことでした。先生のご紹介で文化人類学の米国人教授のお手伝いをしたのがきっかけです。祇園祭に関して町屋の研究をされる教授のインタビューに同行し、通訳らしきことをしました。つたない英語力にもかかわらず、教授や町屋の方々に喜んで頂き、彼らの笑顔がたまらなく嬉しかったことを覚えています。この時の体験が通訳者を志す原動力になったと思います。

大学卒業後、英語を使う仕事を続けてこられたのは、やはり、産大での授業が基礎になりました。実践的なライティング、音声学、文法の授業などを含む英語に関する包括的カリキュラムは、基礎を養うのに十分な内容でした。国際関係論など英語以外の授業も前述したように幅広い分野を対象にする通訳の仕事には不可欠です。ただ、今になって、こうした英語以外の教科を「もっと勉強しておけばよかったな」という憾みはあります。通訳が英語力はもとより日本語力や幅広い常識(敢えて「知識」とは言いません)を求められることを改めて痛感しているからです。やはり学生時代に、幅広い読書や英語以外の授業に力を入れることも必要だったと思うのです。

学生生活で思い出深いのはマセイ大学へ交換留学です。英語圏の考え方や文化を知り、さらに英語を母国語とする国での生活は貴重な体験となりました。また、留学だけでなく、国内にいても外国人と接点を持つことが重要だと思います。机上の勉強だけでは身に付かないこともたくさんあります。

通訳をする中で痛感しているのは英語ができる人が増えているということです。どんな職業においても英語力はプラスになります。私もまだまだ未熟な面が多々あるのですが、正確な英語を話さなければ、相手からの信用も得られないというのが通訳の仕事を通しての実感です。
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