留学体験レポート 瀬田 隆誠 さん(サンクト・ペテルブルク大学)

ロシア留学を振り返って

私は2018年3月から翌年の1月初旬にかけて、ロシアのサンクト・ペテルブルク国立大学に交換留学をしました。
私が通っていたサンクト・ペテルブルク国立大学への交換留学は本学では3年目でした。
出国前には説明会などで注意点や入国後の手筈などを事前に入念に確認するなど、京都産業大学のロシア留学担当の職員の方々ならびに先生方の留学に対するサポート体制は、非常に整っていました。
私は留学先の大学のバディ制度というものに登録し、ロシア入国後の初めの手続きは諸々バディに手伝ってもらいましたが、後の手続きは自分で行っていました。
ロシアでは申請に必要な書類を紛失した場合や書類に不備がある場合などは容赦なく後回しにされ、最悪、あらぬ疑いをかけられることがあります。そのため書類の提出前には自分の目でしっかりと内容を確認し、自己責任で提出することが求められました。
また到着後の初めの数ヶ月は、とにかくロシアの生活に慣れ、文化や習慣に適応できるようになることに必死でした。ようやく余裕がでてきた頃にはすでに留学の折り返し地点が近づいていることに気が付きました。

サンクト・ペテルブルク国立大学での授業

サンクト・ペテルブルク国立大学では全ての留学生が共通のレベルの授業を受けるわけではなく、授業開始前に事前に行われるクラス分けテストの結果により個々のレベルに合ったクラスに割り振られます。そして、アジア、ヨーロッパを問わず様々な国から来た留学生が私と同じクラスで学んでいました。
前半学期(春から夏)は月曜日から金曜日まで週5日、後半学期(秋から冬)は週に6日、1日に約3時間の授業がありました。
この大学の制度について、特によかったと思う点は、今のクラスが自分に合わないと感じる場合、クラスをいつでも変更してもらえるという点です。
サンクト・ペテルブルク/Санкт-Петербург:エルミタージュ美術館

ロシアでの日常生活

日常生活におけるトラブルは日常茶飯事でした。
例えば、寮ではお湯が出ない、部屋の電気がつかない、学生証を機械にかざしても寮に入れないなど…おそらく日本ではありないことがロシアでは頻繁に起こってしまいます。
私にとっては日々起こる日本では起こりえないトラブルをどのように解決するのかという、ある意味「難解な課題」が頭から離れないという感覚でした。
しかし、日本国内の別の大学からロシアに留学している日本人もいました。そのため、もし問題が起こってしまったら、自分一人で解決しようとせずに友人などに相談し、協力し合うことも時には大切だと思いました。

ロシアでの活動

この留学期間中には様々なところへ行きました。
まず初めに、一番思い出深いのはイジェフスクという街への旅でした。厳密にはイジェフスクから少し離れたところに、以前から交流のあるロシア人が住んでいました。そこでロシアの日常生活に密着することが出来ました。さらにこの滞在を通して、ロシアの学校(小中高一貫)で授業を体験し、後日校内で日本についての講演会を行いました。最初、ロシア人の前でロシア語を話すことには恥ずかしさを感じていましたが、生徒たちが日本について興味を持ちアクティブに質問してくれたこともあり、私もうまく答えることが出来ました。ロシア滞在中にこの家族には合計3回お世話になったのですが、2回目の滞在ではチョルマスという携帯電話の電波もあまり入らない村へ、そして最後の滞在では家族とカザンという街への旅行に車で同行させていただきました。またロシアでは、1年ごとに「ある国」の伝統を知ることを目標としており、偶然にも2018年は「日本の年」でした。そのため滞在先ではロシア人の子供たちに日本語を教える機会をいただきました。このことは地元の新聞でも写真付きで記事にされ、少しだけ有名人になったような気がしました。
次に、他の滞在では別の家族に招待され、ヴォルガ川を臨むトリヤッチという町へ行きました。
また本学から一緒に留学していた友人とはモスクワにいきました。2年次の短期語学研修時にはできなかったことに挑戦することが出来ました。
目的地到着後にそこで得たものも多かったのですが、途中の寝台列車の中での出会いや、ロシアの国内線のサービスを一つとってみても、すべてが私の中では貴重な体験です。
モスクワ/Москва:赤の広場と聖ワシリイ大聖堂
カザン/Казань:戸籍登録課

最後に

私がこの留学で掲げていたスローガンは「日本で出来ないことをロシアで」でした。
私は留学中、自分のロシア語の能力が上がっていくのを徐々に実感することができました。なぜなら幸いなことにロシアに滞在していることで多くの場所を訪れ、また多くのロシア人に囲まれ、彼らと長時間コミュニケーションを取ることが出来たからです。
教科書を開いて勉強することは日本でもできますが、自分の目で景色を見ることやロシア人を目の前に1対1で会話することはロシアに留学したからこそ可能だったと考えています。言うまでもなく、留学してよかったと心から思います。
そして留学開始から8ヶ月目の11月には留学前より目標としていた、ロシア連邦教育・科学省が認定する国家試験であるロシア語検定試験(ТРКИ/TORFL)の第2レベル(CEFR B2レベル)にも合格することができました。

これらの経験からロシア留学では単にロシア語を学ぶことが出来るだけでなく、良い意味で人生の価値観を根底から覆すことができる気がしました。
留学中は常に良いことばかりではありませんが、今後自分の人生に影響を与えるような貴重な経験を積むことが出来ます。ロシア留学に少しでも興味のある人は是非そのチャンスをつかんでほしいと思います。
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