留学体験レポート 古城 奈生実さん(サンクト・ペテルブルク大学)

10ヶ月間のロシア留学

私は2016年3月から10ヶ月間、ロシアのサンクト・ペテルブルク国立大学に交換留学をしました。
この10ヶ月間、語学力はもちろん、何よりも生活力の伸びを実感することができました。

交換留学生としてこの大学に留学するのは私達が初めてでした。そのため先輩方のアドバイスは無く、とにかく不安でいっぱいでした。
幸いなことに、サンクト・ペテルブルク国立大学の留学生に対するサポートは比較的整っていました。寮の案内やオリエンテーションの日程などについて丁寧にロシア語と英語でメールが来るだけでなく、バディ制度がありました。この制度のおかげで留学前から大学に友達ができ、私のバディは空港まで迎えに来て、寮まで送り届けてくれました。
寮のロビーで偶然出会った日本人の先輩には、入寮手続きを手伝ってくださいました。
このロシアとは思えない順調さがペテルブルク大学では当たり前だと思っていましたが、見事にその期待は外れました。

到着の次の日いきなり寮と大学の手続きミスで寮費が無料のところを支払いするように言われ、解決に1週間もかかりました。
それだけではなく、通常定められた期間の留学ではなかったため誰もこの事態にスムースに対応できず、常に次に起こることを考えていました。ビザの更新が何度も続き、5ヶ月もの間自由に旅行ができませんでした。ビザの期限が過ぎてもパスポートが戻ってこず、ひやひやすることもありました。
また、夏の間は授業料を払うことになっており、その手続きの仕方もわからず、最終的には北上先生やロシアの国際センターの方に頼ってしまいました。
そして、毎日が驚きの連続で、いつ何をすれば良いかわからない、何が起こるかわからない状況でした。日本人のようにロシア人たちは物事を察してくれません。
もちろん困っている様子を見て声をかけてくれる人もいますが、不満や疑問があれば自分から進んで発言しなければなりません。
前半はとにかく生活をするのに必死でした。

そんな時、日本での生活がいかに楽で、便利であるかを痛感しました。そして自分のわがままさを心から反省し、人に優しく、感謝の気持ちを持たなければならないと強く感じました。

もちろん辛いことだけではなく、嬉しいこともたくさんありました。
その中でも一番は、ロシアで日本語教師をする、という夢が叶ったことです。
ペテルブルクで日本語教師をしているロシア人の友達が、日本語学校で会話の授業のボランティアを紹介してくれました。それから私1人で日本語の会話や文化紹介の授業をしました。生徒たちはとても積極的で、日本語がとても上手く、授業へ行くのが楽しみでした。
その他に、ペテルブルク大学で日本語教師をされている日本人の先生に、子供向けの日本語会話の授業のボランティアを紹介していただきました。
子供たちはまだ日本語が上手くなかったので、ほとんどロシア語で会話をしました。また、その学校の校長先生とはロシア語で電話やメールをしなければならなかったので、とても良いロシア語の練習になりました。

最後に、私は留学して良かったと心から思います。たくさん苦労もしましたが、それを乗り越えた後の達成感は日本では味わうことができなかったと思います。苦労する度にロシア語の能力が少しずつですが上がっていくのを実感しました。
最終的には、目標であったロシア語の試験であるТРКИの第2レベルにも合格しました。

これはあくまでも私の意見ですが、ロシアへの留学はただの語学留学ではないと思います。「精神的に強くなりたい。生きる力も付けたい。」と思う人はぜひロシアに留学してください。自分を変える良いチャンスになります。

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