留学体験レポート 川久保 万里さん(極東連邦大学)

私はロシア沿海州にあるウラジオストクという人口60万程の港町に10ヶ月留学しました。モスクワに比べて年間を通しての日照時間が長い日本から飛行機でわずか2時間で行けるウラジオストクはアジアとヨーロッパが入り混じった興味深い町でした。
留学先である極東連邦大学は沿海州最大の大学で、ロシア人だけではなく様々な国の留学生が在籍しています。
私がウラジオストクに行った4月中旬から10月までは市内中心部に留学生専用の寮と校舎がありましたが、11月にメインキャンパスがあるルースキー島に引っ越しました。ルースキー島は中心部からバスで1時間離れた所にありますが島内にはスーパーやカフェ、郵便局に美容院まで揃っているのでとても便利です。校舎も寮も新しく綺麗で、寮では週に一度清掃員が部屋の掃除をしてくれます。寮から校舎までは歩いて5分程です。1人部屋から4人部屋まで選べたので私は1人部屋に住んでいました。部屋にはトイレとシャワーがついており、広さもあります。洗濯機とキッチンが共用です。
寮内には食堂とATM、自動販売機があるので私は食堂で昼食を済ませていました。
寮費は月4600ルーブル(当時のレートで9200円)と格安でした。寮だけでなく、大学の授業料もモスクワの大学の半額程度です。費用の面ではウラジオストクはとても良いと思います。
授業は90分授業が1日に2コマ、文法と読解をメインに発音と会話の授業があります。少人数制クラスなので先生が一人一人丁寧に教えてくれます。レベル別に別れており、努力すればどんどん上のクラスに上がることができます。極東連邦大学のロシア語学校はТРКИに力を入れており、専用の個別指導も受けることもできます。
大学には中国や韓国、ベトナム、コロンビア、アメリカなど様々な国の留学生が通っていました。私のクラスには韓国人が多く、明るい子たちばかりだったので仲良くなってからは韓国料理を作ってもらったり一緒に市内まで遊びに行ったりしました。
また、週に一度行われている日本語会話クラブという日本語を学習しているロシア人と交流できる場でロシア人の友達も作ることができました。
週末に映画館やレストランへ行くのにバスで1時間もかかるのは少々不便ですが、それ以外の日常生活においては困ることはありませんでした。

ウラジオストクという町はヨーロッパ側にあるモスクワやサンクトペテルブルクといった大都市とは人も文化も異なると思います。ウラジオストクを走る車のほとんどが日本車で、テレビなどの家電は韓国製品が使われ、スーパーに並ぶ野菜や果物の多くは中国産です。大学構内にとどまらず、町でも様々な国の言葉が飛び交います。ウラジオストクに住むロシア人もアジア人とひとくくりにせず、街中で日本語を話していれば「こんにちは!」と声をかけてくる人もいました。渡航前は人種差別があるかもしれないと少しだけ不安に思っていましたが、10か月を通してそんなことは一度もありませんでした。
最後に、留学の選択肢は様々ですが焦らずに周りの声にも耳を傾け、自分を応援してくれる人とよく相談して決めてください。ウラジオストクなら二時間でいつでも日本に帰れるんだ!というくらいの気持ちであまり思い詰めず自分のしたいことをするのが一番楽しい留学生活だと思います。
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