イタリア生活で私が得たもの(佐々木 涼さん)

2017年3月から12月にかけて、外国人大学のある街ペルージャに留学してきました。この留学に踏み切ったのは、もちろん2年間勉強してきたイタリア語のスキルを伸ばすためというのもありましたが、何よりイタリアに住むことが中学生以来の夢だったからです。たくさんあるイタリアの魅力の中でも、特にルネサンス時代の美術、建築に惹かれた私は現地で実物に触れ、それらに囲まれて住人として暮らすことを望んで止みませんでした。こうして決意した留学はとても実り多いものとなりました。

現地に着いてまず行なったことは住居探しです。私は今回一人だけでの留学だったため、心細かったことと、ペルージャについての情報がいろいろ欲しかったことで、日本人の方が多く住んでいるアパートを見つけ、入居しました。イタリア滞在中このアパートから引っ越すことはありませんでしたが、私はこの選択は正解であったと思っています。あちらで仲良くなった日本人の友達たちは、「語学学習のために」と外国人と一緒に住んでいる人が多かったのですが、みな文化の違いからくる人間関係のトラブル等が絶えなかったようです。私は幸せにも、外ではイタリア語を、家では日本語を話せる環境があって、これが私には合っていたように思います。
住居を確保し、次に私が取り組まなければならなかったことは、料理、洗濯などの家事です。今までは親に任せきりであったため、スムーズに行えるようになるには時間がかかりました。料理など、最初のころはついつい簡単なパスタに甘えてしまって、毎日食べていた時期もありました。こうなってくると気になりだすのが体重です。なんとかせねばと通い始めたジムが自分には合っていて、週4日はジムで筋力トレーニングをすることがライフスタイルとなりました。これは日本に帰ってからも継続していることです。
学校に通い始めると友達がたくさんできましたが、その多くはアジア人でした。というのもやはり文化や性格が近いので、話しやすかったのです。結局中国人が一番多く、韓国人、台湾人、インドネシア人やベトナム人もいました。ベトナム人といえば、3か月間日本語の話せるベトナム人と住んだこともあります。友達たちとは一緒に勉強したり、食事をとったり、旅行をしたりしました。あとよく私に料理を作ってくれました。全部おいしかったのですが、その中でも中華料理が格別でした。もちろん後に私も料理のお返しをしましたよ。ただ私の作るみそ汁だけは、なぜか受けが悪かったのですが…。
このように得るものの多かった留学ですが、すべてが順調にいったわけではありませんでした。滞在先のアパートが決まらなかったり、学校のレベル分けテストの結果、自分には難しすぎるクラスに入ってしまったり、携帯を壊して友達と連絡が取れなくなったりと、成功と同じ数だけ失敗も挫折もしました。日本にいたときは想像もつかなかったようなイタリアの悪い面も、実際に住むことで見えてきました。ですが、これは留学前には知らなかった日本の素晴らしい面を見つめ直す機会にもなったのです。私は日本人であることを誇りに思いますし、日本についてもこれから勉強していきたいと思っています。イタリア生活で私が得たもの、それはここに書いたことだけでも、対人スキル、家事、洗濯などの一人暮らしのスキル、ライフスタイル、多国籍の友達たち、愛国心と多岐にわたりました。もちろん語学力も留学前とは比べ物にならないくらいに伸ばすことができたと思っています。どれも一生ものレベルの大切なものばかり、これだけ成長できたのだからこれから社会に出てもやっていけると、妙な自信までついた最高の留学でした。
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