イタリア留学で得たもの(寒河江 希さん)

チヴィタ・ディ・バーニョレージョ
1年次生のころ、海外実習でシエナ外国人大学に3週間留学しました。短い期間でしたが、とても充実しており、これをきっかけに長期留学したいと思うようになりました。その1年後、ペルージャの地を踏むこととなりました。ペルージャに着いた最初の頃は、楽しいことばかりをイメージしていました。想像の中では全てがとんとん拍子に進んでいました。しかし現実はそううまくはいきませんでした。最初に突き当たったのはやはり言語の壁でした。先生の言っていることがなかなか理解できず、ちゃんと学習した単語なのにいざ話そうとすると緊張からなのか、すっかり忘れてしまいました。時間が経つにつれて耳がイタリア語に慣れ、だいぶ聞き取れるようにはなりましたが、やはり話すときに知っている単語が出てこず、自分に腹が立つことがよくありました。単語帳を作って必死に覚えようとしてもうまくいかず、焦るばかりで何をどうしたらいいのか分からなくなりました。試験に失敗してもう何もかもうまくいかないと思っていた時、実用イタリア語検定の3級に合格しました。やってきたことは無駄ではなかったと多少浮かれたからなのか、筆箱と電子辞書を失くし、調子に乗ってはいけないのだと自覚しました。この留学を振り返ってみて思うことは、イタリア語がすらすらと話せるようになったわけではないということ。人生そう甘くはないということ。しかし、経験したことは決して無駄ではなく、いつか報われるときが来るということ。この先社会に出たときに、きっと役に立つ様々な経験ができたことは、この留学での一番の成果です。
ペルージャ
辛いことも多くありましたが、もちろん楽しかったこともいっぱいありました。ヴェネツィアやナポリ、ローマやミラノへ旅行できたことはいい思い出です。その他にも様々な街へ観光しました。イタリアには大きな町だけでなく小さな町にも見所がたくさんあります。例えばチヴィタ・ディ・バーニョレージョという町。聞きなれない名前ですが、実はこの町、あの「天空の城ラピュタ」のモデルとなった町です。小さい町なのでバスの本数も少なく、ここまで行くのは大変ですが、行く価値はあります。また2016年は日伊国交150周年のアニバーサリーイヤーでしたので、それにちなんで日本の文化を伝えるイベントも行われました。日本人留学生とイタリア人学生で開催したこのイベントにはたくさんの人たちが来てくださり、日本という国を外から見る良いきっかけになりました。
ペルージャ外国人大学の教室
日伊国交150周年記念イベント
ペルージャにはやはり外国人大学があるため外国人が多く、イタリア以外の国の人々と関わる機会がありました。中にはあまり知らない国の人もいて、そのような人たちと交流することで、様々な国に目を向け、新しい文化に触れられて視野が広がりました。
約10ヵ月間のペルージャでの生活は私にたくさんのものを残してくれました。楽しいことだけでなく辛いことも多くありましたが、その全てがきっと自分の将来を彩っていくものになると考えています。学生だからこそできる経験というのもあります。もし留学しようか迷っている人がいるならば、とにかく行ってみるべきだと思います。語学の上達よりも大事な経験ができる、良い機会となるはずです。
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