イタリア留学で自分が変わったところ(岩本 和磨さん)

約10か月間、南イタリアのレッチェという小さな町に留学していた。街並みは白くてきれいで、ご飯は安くておいしいものが手に入り、海もバスですぐのところにあった。なにより日本人がほとんどいなくて、語学留学するにあたって素晴らしい環境だった。おかげでかなりイタリア語が上達したし、言葉以外の文化の面でも知らなかったことをたくさん吸収できた。
この留学で人間として成長することができたと実感している。その一つが親からの自立だ。私は日本では家族と生活していた。大学から帰ると、ご飯はもう食べられるように準備されていた。洗濯や自分の部屋以外の家の掃除も任せっきりにしていた。しかし留学期間はこうはいかない。自炊し、掃除・洗濯も自分で行うしかない。しかも毎日。正直面倒くさかったし、だれることもよくあった。そして同時に、何十年も同じことを繰り返す親のありがたみを、この年でようやく知った気がする。自分で身の回りのことをするという経験は、将来会社に入って家を出ることになったときに大いに役に立つと思う。社会に出る準備ができた。

留学に行く前と比べて一番変わったのは、興味があること・したいことを、周りを気にせずに実行に移せるようになったということだ。今まではだれか一緒にしてくれないかなと人を探して、一人で何かすることをためらっていた。そのため誰も周りが動いてくれないと、後悔しつつも行動できなかった。それは周りから自分がどう見られているかを、必要以上に気にしていたからだと思う。他人を意識するのは日本らしいことだが、海外では事情が異なる。「個」がもっと重要で、みんなやりたいことを実践して生活を存分に楽しんでいた。それを目の当たりにして、このままでは後悔の残る留学になってしまうと心配になった。そこからマインドチェンジして、自分の人生をもっと楽しもうとした。面白そうな催し物があったら参加したり、一人でほかの国に旅行をしたりした。一人でいることが決して好きというわけではなく、周りの人と話をするのも好きだけれど、自分の意思をもっと尊重したいと考えるようになった。おかげでイタリアでしたかったことがある程度できたし、たくさんの友達と遊ぶことができて、10か月という短い期間であったが、楽しくかけがえのない留学生活となった。これは私の人生の中で忘れることのできない宝物である。
挫折もいくつかあった。けれど、それ以上に自分を成長させる経験をたくさんできたことに感謝したい。これから留学しようと考えている人には、恐れることなく様々なことに挑戦してほしい、と伝えたい。「やらない後悔よりやった後悔」という言葉があるが、まさにそうで、時間は常に流れていて後戻りできない。一瞬一瞬のチャンスをうまく逃がさずに掴んで、「自分の留学」を作り上げていってほしい。

PAGE TOP