イタリア留学での印象的な経験(大川 賢治さん)

イタリア留学を終えて、印象に残っている経験がたくさんある。まず、イタリアに着いて、すぐに私は言語の壁にぶつかった。出発までに2年間、必修の授業でイタリア語を習っていたにもかかわらず、買い物や滞在許可証の手続きのときに、単語や文法がすぐに頭に浮かばず言いたいことが言えなかった。しかも、まだ耳が慣れていなかったので、うまく聞き取ることもできなかった。そんな時、世界中の学生が集うペルージャでは、英語を使って会話することもできる。しかし、私の英語の能力は十分ではなかったので、とても苦労した。
ペルージャで生活をしながら体験した本物のイタリアは、日本で想像していたものと全く違うものだった。例えば、お店は昼に休み時間があり、日曜は開いていない。チェントロ(中心街)の表通りは綺麗だが、角を一つ曲がると古びて汚れている。大半の日本人の西洋人に関するステレオタイプである金色の髪の毛の人よりも、黒い髪の毛の人のほうが多い。これらのことは、私がヨーロッパに対して、イタリアも他の国も一まとめにして抱いていたイメージから、はるかにかけ離れていた。

私はヨーロッパが陸続きで、旅行しやすいということを知っていたので、留学中にイタリア国外にも足を運んだ。ペルージャ外国人大学の授業がない週末を利用して、時にはLCC(low-cost carrier)の事前予約で手頃な航空券を取り、10に及ぶ国々を訪問した。西ヨーロッパを中心に、北はイギリス、南はモロッコまで行ったのだが、それぞれの言語、文化、環境、物価などを自分の肌で感じることができた。日本とイタリアだけにとどまらない、もっと広い国際社会に興味を持つきっかけとなった。
今回の留学では、パリでのテロの影響やトラブル、辛いことも含めて、日本にいれば絶対に経験できないようなことが幾つもあった。このように海外に長期滞在し、安心して生活できるのは、学生だからこそだろう。なので機会があるのなら、他の人にも行ってもらいたいし、また自分でも行ってみたい。


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