ドイツ フライブルクに留学した内藤 佳代子さんから
留学体験記が届きました

フライブルクの町並み
私はドイツのフライブルクという街に2016年4月から約1年間留学しました。そこへの留学を決めたのは、ちょうど就職活動に向けて動き出していた大学3年次の後半の時期でした。それまで大学でドイツ語を3年間学んできた中で、ドイツへは留学にも旅行にも行った事がありませんでした。しかし実際に現地へ行って新しい経験をしてみたいと思い立ち、その年の末頃から留学の準備をし始めました。
留学を決断するのが遅かったため、準備の期間は長くはありませんでした。私は留学に関する事柄の補助や相談、さらに語学や生活についてのセミナーをしてくれる機関を利用したので、自分がしなければならない事は明確でした。準備の内容をおおまかに言うと、パスポートやビザの発行、保険加入書や航空券などの必要書類の手配、語学学校やホームステイ先に関する事柄です。
また少々不安だった費用面ですが、両親が留学に理解を示してくれたため、一部援助してもらう事が出来ました。留学に必要な費用は大きく2つに分かれ、まず渡航前に必要な初期費用、そして留学中の生活費でした。初期費用は語学学校にかかる分とホームステイ先への支払い分でしたが、これらはどんな授業を受けたいか、宿泊形態も様々なので人によって異なります。私のようにワーキングホリデービザで留学する人は、生活費を現地でアルバイトをして稼ぐ事が出来ますし、そうする人が大多数なのではないかと思います。日本で最低限の金額を用意してから、後で必要な分は現地で稼ぐという行動的な人もいます。私は初めての長期留学への不安もあったので、以前から将来留学する事を視野に入れてアルバイトで貯金していた事が良かったかなと思いました。
準備も無事終わり、ドイツに出発しました。私はドイツ語を3年間学んできたものの、実際のところはあまり語学に自信がありませんでした。なので、ドイツで友達が作れるか、ホームステイ先の家族と良い関係を築けるかなど、様々な不安がありました。フランクフルト空港に到着して迎えのタクシーに乗り、長い時間をかけてこれから住む街のホームステイ先に向かいました。どんな家族なのかと緊張していましたが、目的地の家に着くと日本から長時間の旅をして来た私を労って、あたたかく迎え入れてくれました。家族は留学生に慣れていたので、私の不安を理解してくれて、始めは分かりやすい言葉でコミュニケーションを取ってくれました。その後私はこの家族のもとに半年間滞在していましたが、食事の時などに積極的にその日の出来事を話したりして、そのうちにドイツ語を話す事が楽しくなってきました。また、休日にはドライブに連れて行ってもらったり、近くの山にハイキングをしに行きました。このように過ごす中で、ドイツ人が普段どのように生活しているか、何を楽しんでいるのかを直接知る事が出来たので、様々なドイツの文化を紹介してくれた家族に本当に感謝しています。
その他にもドイツでの生活は刺激的な事ばかりでした。特に語学学校での経験は新鮮で楽しいものでした。1クラスはおよそ10人で、そのほとんどが欧米人でした。私のクラスはまだ日本人が多かった方でしたが、私の通った語学学校ではアジア人は少数派だったので、クラスの雰囲気も今まで体験した事の無いものでした。そんな中で勉強していて最も印象深かったのが、彼らのやる気と積極性でした。何か分からない事があれば、どんどん質問や発言をする姿に最初はすごいなと思うばかりでしたが、私もその中に入りたい、自分を変えたいと思い、彼らを真似するように発言を心がけました。他の日本人達も思いは同じだったようで、私達はどんどん聞きたい事を探して、授業中に発言をするようになりました。自分から行動する大切さに気付き、積極的になれた事は、この留学で私が学んだ中でも特に大切な事でした。

ハイデルベルクの町並み
ドイツ留学中は毎日が新鮮で、新しい発見がたくさんありました。店に入る時は毎回挨拶をするし、ドイツ人は外で過ごすのが好きで、よくピクニックに出かけたりします。食事もとてもおいしくて、ドイツ料理は日本人の口によく合うと思いました。日本と違うところはたくさんありますが、その性格も少々日本人と違うかと思います。よく知らない人にはクールに接しますが、仲良くなると親身になって話を聞いてくれたり、何か問題を抱えていたら自分に出来る事はないかと真剣に協力してくれたりします。誰しもが一概にそうとは言えませんが、こういう真面目なところが、ドイツ人の気質なのかもしれません。そういった気質や自分の仕事に強い責任感を持っているという点は以前からのイメージ通りでしたが、やっぱりかっこいいなと思いました。
留学中には苦労した事もありました。当時の私は、様々な場面での日本との違いに、最初の頃は戸惑っていました。それまで留学経験が無かった為、国際的な周囲の雰囲気や、人々の考え方や価値観に大きな違いを感じていました。それをどう乗り切るか、ヨーロッパ文化にどう慣れるか、またどうすればドイツ人のようになれるのかと考えていた時期がありました。しかし、語学学校で共に学んでいた年上の日本人達に相談に乗ってもらう事で、気持ちを整理する事が出来ました。大事な事はドイツ人になることを目指すのではなく、日本とドイツの違いをポジティブに受け入れる事でした。そう気付いてからは、自分らしくいられるようになりました。
私の留学中の趣味は、散歩と旅行でした。語学学校の授業が終わったら街を散歩して、異国情緒あふれる風景を満喫しました。休日には近くの街に旅行に行き、名所を見て回りました。中でもハイデルベルクという街は、古い町並みを保っているだけでなく、立派な古城もあって見応えがあり、まるで中世にタイムスリップしたようなかわいい街でした。様々な国から旅行客が来る人気のある町です。ドイツを感じるには絶好の場所なので、また行きたいと思いました。その他にもドイツには見るべき所が本当にたくさんあり、歴史を感じられる国なので、これからドイツに行こうという人にも滞在中には出来るだけ多くの街を訪れる事をお勧めします。
露店で買ったブラッドブルスト
留学中にも感じていた事は、ドイツに行く事を決断して本当に良かったなという事です。楽しい事ばかりという訳でもありませんでしたが、留学した事で私の世界は確実に広がりました。今まで日本でドイツについて学んでいたはずでしたが、実際に行く事でずいぶんと身近にこの国を感じられるようになりました。ドイツ人を好きになる事が出来たし、日本に帰ってからもヨーロッパのニュースに目を向けるようになりました。留学した当初の私の目標は、辞書を使わずにドイツ語の新聞を読めるようになる事と、色んな人と楽しくコミュニケーションを取れるようになる事でした。新聞を読むのは簡単ではないのですが、この目標を持って日々文法を覚え、語彙を増やすよう努力していたおかげで、本当に自信がつきました。また、語学学校に長くいると、必然的に他の人と話す機会も多くなります。そんな中でコミュニケーションの取り方も人や国によって違うので、話し方が上手いなと思う人をお手本にしてみたりもしました。外国人の性格は日本人と違っておおらかで、積極的で論理的なので、そんな人達と関われた事で自分も成長出来たと思います。
留学する際には今後自分がどんな人になりたいか、何を達成したいかという高い目標を持っていれば、そのイメージが良い方向に自分を連れて行ってくれるはずです。昨今は海外へ留学する人が減ってきているそうですが、留学するか迷っている人には、自分を成長させる為にもぜひ思い切って決断してほしいと思います。


留学期間:2016/4-2017/4
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