派遣留学から帰国した学生の体験記が届きました
(川本 実さん ライプチヒ大学)

私が得たもの

私は音楽で有名なドイツのライプツィヒという都市に、2016年3月から10ヶ月間留学しました。留学したての頃は、ドイツ語や授業、生活に慣れるのに必死な日々を送っていました。しかし、半年が経って生活に慣れたと思っていた矢先に、B2レベルの語学試験という大きな壁にぶつかりました。毎日必死に授業に食らいついていかなければならない2ヶ月間が続き、また3月の渡独直後のような振り出しに戻ってしまったようで疲弊してしまった時期もありましたが、なんとか最後までやり遂げることができました。
この10ヶ月で私が得たものは、ドイツ語の習得だけでなく、多国籍の友人たちや違った考え方、新しい知識を獲得したことや自分の旅行スタイルを確立したことなどです。
私は、ドイツ人以外にシリアや中国、韓国出身の友達とよく交流していました。皆、部屋へ招待してくれた際には、郷土料理をふるまってくれ、いつも歓迎ムードで迎えてくれたことがとても嬉しかったです。特に印象に残っているのはシリア出身の友人です。シリアという国名を聞くと、ニュースで見たり聞いたりした暴力的なイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし、それはほんの一部でしかなく、彼女の家族はまだシリアやその周辺の国々に住んでいるそうです。シリアやその周辺の地域全土が危険だと思っていた私にとって、以前は観光地として栄えていたシリアに、今は危険な場所もあるものの、そうでもない場所もあるということは衝撃的でした。私より年下の友人達が、今までの生活を奪われ、言語の違う地で新たな生活基盤を形成にしている姿は、ものすごく大人びて見えました。自分がいかに恵まれ、安全な環境の中で甘く生きてきたのか。両親に感謝しつつも、もっと自立しなければならないと痛感させられました。それと同時に、少しの情報や知識で物事を判断するのではなく、もっと俯瞰するべきことも学びました。
この留学を通して、私の中である定義ができました。グローバルな人間とは、相手の長所や短所だけでなく、その国の文化や習慣、伝統や宗教などを受け入れることができるキャパシティーを持った人間ではないかと思います。外国について、日本で得ることができるメディアからの情報は私にとっては死んだ情報のようなもので、その国で実際に体験して得たもの、友人や先生から聞いた話、自分の目で確かめたことが生きた情報のような気がします。今は、日本のことも含め、もっと様々なことを学んで、その地に足を運びたいという好奇心にかられています。
外国語学部 ヨーロッパ言語学科 ドイツ語専攻 川本 実
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