派遣留学から帰国した学生の体験記が届きました
(國松 隼人 さんライプチヒ大学)

留学体験記

学生寮
私は大学3年生の2015年3月から12月までの10か月間ドイツのライプチヒに留学していました。ライプチヒはケルンやハンブルクに比べると小さな町ですが、森鴎外や滝廉太郎が留学したことでも有名です。語学力を大幅に向上させたい、外国に住みたいというのが留学のきっかけでした。今思えば単純すぎて笑ってしまいそうです。
私は大学1年、2年生の時、真面目にドイツ語を勉強し、文法も完璧に頭に入れたつもりでした。正直、自信満々で留学に臨みました。私はドイツ語で何かを学ぶより、ドイツ語を深く学びたかったので語学学校に入学しました。ドイツに到着し、学生寮に入る前にその語学学校で入学手続きをしたのですが、この時に私は大きなショックを受けました。手続きは、もちろん全てドイツ語で行われるのですが、私はその内容を全く理解することができませんでした。私がドイツ語で話しても通じず、先生も2人がかりで対応していただきました。完璧だったはずの私の文法もいざ本番となるとボロボロで、自分のしたい事をひとつも伝えることができませんでした。この時、自信満々だった私はショックを受け、恥ずかしくなり、一気に留学生活が不安になりました。

ライプチヒ 諸国民戦争記念碑
不安なまま学校生活が始まりました。クラスは国際色豊かで、アメリカ、ブラジル、中国、シリアなど様々な国から生徒は集まっていました。日本ではなかなか経験できないこの貴重な空間で、1か月も経たないうちに私の不安は自然と消えていました。私はドイツ語ができないなりに、ジェスチャーや英語も合わせて先生やクラスメイトと会話していました。この時は、とにかくどんな形でもいいから自分の気持ちを伝えることに集中しました。そうしているうちに不思議とある程度ドイツ語も話せるようになりました。もちろん文法や単語を覚えることも大事ですが、実際に会話した方が語学力は向上することをこの時身をもって実感しました。
また、普段触れることのない異文化を知ることも留学の魅力のひとつでした。私は学生寮で暮らしていたのですが、寮も多国籍で、色んな国からドイツ語を学びに来た学生が住んでいました。同居人とは、お互いつたないドイツ語で会話していました。文法も間違っていただろうし、発音もドイツ人とは違う。時には紙に書いて会話するときもありました。しかし、一緒に晩御飯を食べたり、ドイツ語を教え合ったり、確かに言葉は正確に伝わらなかったかもしれませんが、とても楽しい環境でした。
私は映画が好きで、週末になれば毎週のように映画館へ通いました。映画はもちろん全てドイツ語で字幕もありません。私は映画の中に出てきた台詞を日常生活で使ったりもしました。口語的な表現が学べ、非常に役立ちました。好きなことで学ぶと外国語はより身につくのだと思い、より一層ドイツ語学習に意欲が湧きました。

スイス旅行
長期休暇には、イギリスやスイスへ旅行に行きました。イギリスでは本場のフィッシュアンドチップスを食べ、スイスでは美しい景色を見ながらハイキングをし ました。ドイツとは違った文化、言葉、食に触れることでドイツ語、ドイツ人がもつ理路整然とした美しさを更に好きになりました。さらには日本のサービスの 良さ、安全性も再認識することができました。
私は留学を通して、日本では学べない、経験できないことを多くしました。異国ではなにをするのにも不安が付きまといます。ですが、その不安を恐れず、事を 成し遂げたとき、不安は大きな自信へと変わります。自分にもできる、あの時もできた、と考えられるようになり、今までよりも大きなことチャレンジするよう になりました。
留学4か月目には言葉の不安もなくなりました。それまでは先生の話している内容も聞き取るのが難しく、学校に行くのが億劫でした。しかし、4か月後、気が 付くと先生の話を難なく聞き取ることができ、趣味である映画の内容もほぼ全て理解できるようになりました。もちろん単語や文法を必死に覚えたのもその原因 のひとつですが、一番重要なのはやはり環境でした。朝から晩まで身の周りにはドイツ語が溢れ、ドイツ語を話さないと自分の気持ちが相手に伝わらない、コ ミュニケーションがとれない為、店での買い物もできません。積極的にドイツ語を話したからこそ学校で友達もたくさんできました。ドイツ語を話さないと生活 することができないという環境が私の語学力を向上させてくれました。「語学力を大幅に向上させたい」という私の留学の目的は達成できたかなと思います。


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