「ドイツの学生」金子 真智典さん

約3週間の研修で、 私はドイツやヨーロッパ独自の文化を体験してきた。 しかし、 私自身海外への研修が3回目であったので、 異文化への感動がやや薄れていた部分があったと思う。 その中で私がこの研修で最も衝撃を受けたことは、 ライプチヒ大学の日本語専攻の学生との交流会での意見交換であった。 この交流会は2度行われた。 彼らは日本語が堪能で、 何も差支えのないほどであった。 そんな彼らに私はいくつかの質問をした。
1つ目は、 なぜ日本語を学ぼうと思ったのかということ。 私はアニメの影響が大きいと思っていた。 しかし、 彼らの解答は違うもので、 日本語の響きにひかれたと言っていた。日本語にはドイツ語や英語では訳すことができない独特の表現や響きがあり、 また日本語は少ない文字数で気持ちや思いを伝えることができると語っていた。 このような日本語特有のものに惹かれたという声が多く、 驚いた。
2つ目は、 日本のいいところを聞いた。優しい人が多いこと、治安がいいなどの意見が出ていたが、 しかしこの2点に関してはドイツにも当てはまることだと思った。 唯一納得したことが、街がきれいだということだ。この意見はよく聞いていたが、実際に外国の街を歩くと実感できたことが多々あった。
3つ目は、 日本の悪い部分と嫌な部分を聞いた。 外国人や外国の文化に対して必要以上に特別扱いすることだと言っていた。 確かに、 日本人は他国や異国の文化に対して特別な意識を持っていると思う。 この様な行為が外国人にとって悪い印象を与えていることなのだと思った。

以上のよ うな質問をしたり、 逆に向こうから ドイツに対しての疑問を投げかけられたり意見交換をしていた。 この中で私が最も驚き、 度肝を抜かれたことは、  ドイツの学生が私たち日本人以上に日本のことに興味を持って学習し、 第3者の目線で日本の問題を視ていることだった。 ある学生は日本の高校教育の倫理の教科書を熟読し、 おかしいと思う部分が何ページのどの部分なのかをすべて覚え、 私たちに意見を求めてきた。 私たちが意見を述べると、 日本人からすると全く思いつかないような反論ばかりをうけた。例えば、 日本は古代より中国からの発達した文化や知識などを吸収し、 その内容を取捨選択し、 独自に発展させた結果、 日本独特な文化が形成されてきたという点だ。 我々からすると日本は島国で、 鎖国などを行っていた背景からこの様なことが起きたのは当然だと思ったが、 彼らはこの様な文化の発展はどこの国でもどこの民族でも行ってきたことであり、 世界共通のことであるのにもかかわらず、 あたかも日本独自のこととしてこれも日本文化の1つであると述べるのはおかしいと言っていた。

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