「ドイツでの生活を終えて」 山本 哲郎さん

私はドイツでかけがえのない時間を過ごしました。今までの人生の中で一番濃い日々でした。ドイツへ旅立つ前に「言葉の壁を越えて、たくさんの仲間を作る」という目標を設定しました。その目標は見事に達成されました。それも自分の想像をはるかに超える達成度でした。 

フライブルクについて1日目、私はおそらく人生最大の勇気を振り絞りました。寮の近くにサッカーコートがあり、そこでドイツ人はもちろん、アメリカ人や中東の人、身体の大きな黒人たちがサッカーをしていました。そこではまさにサッカー大国ドイツのレベルの高いFußball (ドイツ語でサッカー) が展開されていました。そこに日本人が割って入るのはものすごく勇気がいることです。
私はその光景を見て正直尻尾を巻いて逃げてしまいそうになりましたが、心のブレーキがかかる前に一歩を踏み出しました。「オレはサッカーがしたい!オレも混ぜてくれ!」とカタコトのドイツ語で伝えました。なんとかサッカーに参戦することができ、コートに入ると相手チームの選手が「誰だこいつは!コートから出てってくれ」と私に言いましたが、怯むことなくアピールを続けました。「ここで認められたら自分はものすごく成長できる!」と自分に言い聞かせ、その時の自分は完全にクレイジーになっていました。必死に自分を表現し、相手の心に飛び込んでいきました。そうすると少しずつ向こうの反応も変わってきました。「こいつ面白い奴」と思われたら、もうこちらの勝ちです。私はゴールを決めました。すると黒人が走ってきて、抱き着いてきてくれました。私は感情を爆発させ、「Ich bin Japaner!!(私は日本人だ)」と叫びました。何十人もの外国人が大爆笑しました。そこから私に対する対応が180度変わり、向こうの方からこちらに歩み寄ってきてくれるようになりました。様々な国籍の人と仲良くなりました。
平日はほぼ毎日サッカーコートに行き、黒人たちとサッカーにあけ暮れました。
私が顔を出すと、みんなが私の名前を呼んで迎えてくるようになりました。完全に受け入れられ、みんなの人気者になることが出来ました。色んな国籍の人たちと触れ合ってみて、自分から相手の心に飛び込んでクレイジーになれば、たとえ言葉が通じなくても言葉の壁を越えて仲良くなれると実感しました。自分の伝えたいことがドイツ語で表現できず悔しい思いも数え切れないほど体験しましたが、それでも相手と思いを共有できると知りました。

毎日が刺激的すぎてあっという間の1か月間でした。正直こんなにもたくさんの外国人と仲良くなれるとは思っていませんでした。本当に濃い仲間が出来て素晴らしい経験をしました。またドイツへ行ったときは必ず会いに行くと約束しました。
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