「フライブルクの街づくり」尾崎 葵さん

「環境都市フライブルク」このような名を持つフライブルクの都市構造について興味を持ち、私はドイツ語海外実習のテーマとしました。
私は、実習中にフライブルク大学が企画した「グリーンシティツアー」に参加し、フライブルクの中でも周りには見られないような計画的な街づくりをしているVaubanのお話を聞きました。戦争で9割がやられてしまったことから、この土地の街づくりは始まりました。まず、この街には他の場所よりも極端に車がありません。車のいらない暮らしを提供しているからです。車のない生活、大都会の中心部ではない、のどかなこの街では暮らし辛そうで普通では思いつかない考えだなと感じました。話を聞かせてくれた案内役の前田さんは「この街は大多数の意見を通さず、住みたいと思う人だけが住めばよい街」だと形容されました。例えば、お母さんと子供が手を繋いだ看板がありました。これはKinder Straßeといって子供優先の道です。車で通るには時速5,6kmしか出せません。会社勤めで車を乗り回す人には難しい街だと感じました。人々は移動のほとんどを自転車やトラムを使います。これは、この街では当たり前になっていることですが、特別なことだと思いました。トラムはほぼ等間隔でやってきます。そして、足の不自由な方や、ベビーカーを持っている親子連れも遠慮なく気軽に利用しているようでした。日本では、小さな子供連れや足に不自由な方への配慮はあるものの、まだまだ優しくありません。いろいろな人への配慮があるからこそ、こんなにも根付いているのだと思いました。車が少ない分、空気が綺麗でした。そして、春休みだからか、いろいろなところから小さな子供の笑い声が聞こえ、走り回る姿が見られました。いたるところに広場が設けられているのもこの街の特徴です。人と人とが集まり、積極的にコミュニケーションをする空間としてあるとわかり、繋がりを大切にする素敵な街だなと思いました。

他にもエコロジーに関してさまざまな工夫がなされていましたが、そこから環境都市として呼ばれるだけではなく、コミュニティが形成されることを知りました。もちろんマイナス面もあるうえ、まだまだ時間がかかる計画もあると聞きました。しかし、どの事柄についても前向きに向き合うこの街の姿勢に私はとても魅力を感じました。暖かな印象の街、そんな街がVabanだけでなく、世界中に広がるといいなと思いました。
約一か月フライブルクに住んでみて感じたのは、街の人々の優しさでした。もちろん、何かしらの理由で嫌な顔をされる方も見受けられましたが、ほとんどの方が快く親切に質問や会話に応えてくれました。表現力が豊かで聞いたことのない単語でも話の概要が私にでも理解できたので、お話を聞くだけでも楽しかったです。特にケルンに行った帰りICEで知り合ったフライブルクのおばあさんは隣に座った私に、日本人作家の本の話や生い立ちの話など飽きないように、面白く話してくださいました。不格好なドイツ語ながらも質問をすると、真剣に聞いてくれてとても嬉しかったです。しかし、こうやって会話をすることで一番痛感したことは、気持ちが上手く伝わらないことの悔しさです。寮では5人の多国籍の友達と英語でも話しましたが、ドイツ語も英語も授業で使うようなことはたくさん頭に浮かぶのに、楽しい、嬉しい、悲しい、寂しいなどの言葉のささいな変化を上手く伝えられなくてもどかしかったです。
この海外実習を通して語学力の向上により努めたいなと思い、中でも自分の意見をはっきり納得のいくように伝えられるようにしたいと深く感じました。このような機会があって本当に良かったです。
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