日本語パートナーズ レポート 坂西 紘一さん

インドネシア [活動期間:2017年9月~2018年3月]

私は今、インドネシアのシドアルジョという町にいます。日本語パートナーズという国際交流基金が主催するプログラムに参加しています。もう日本を出発してから2カ月が経ちました。

大阪研修での全体写真

日本語パートナーズ事業とは、アジアの国々の学校教育機関に、日本人が日本語パートナーズ(以下NP)として出向き、数カ月間、カウンターパート(CP)と呼ばれる現地の先生とともに授業を盛り上げ、日本語の楽しさを伝えるプログラムです。それだけでなく、帰国した際に日本にいる皆さんに現地の文化を伝えるのも我々NPの大きな役割の一つです。この日本語パートナーズは、2014年から始まった事業で、インドネシアへの派遣は今回で8回目です。

インドネシア八期は約1年前から始動しました。書類審査、面接審査を通過した後、今年の8月にインドネシア八期の76名が研修を行うため大阪に集いました。大阪研修では、現地で使うインドネシア語、日本語教育や危機管理等を1カ月に及び学びました。そして、2017年9月25日にインドネシアに来ました。活動は来年2018年3月30日まであります。

スラバヤ研修で2人のCPと共に文化紹介の練習をする様子

インドネシアに来てからも、入念な研修は続きます。首都であるジャカルタで4日間、そして派遣地域である東ジャワのスラバヤという町に移り3日間の研修をします。スラバヤでの研修で初めて、半年間お世話になる学校のCPの先生と対面し、授業の練習をします。私のCPの先生は2人です。今回、私が派遣される学校は、初めてNPが派遣される学校だったので、この研修では、私だけでなく2人のCPの先生も緊張の面持ちでした。

朝礼の際の歓迎の様子

研修が終わり、シドアルジョという町にやってきました。スラバヤとシドアルジョは隣町ですが、車でシドアルジョに入るとすぐに分かるくらいに町の雰囲気がガラッと変わります。シドアルジョは非常にきれいな町です。私が派遣されている学校は、SMA Negeri 4 Sidoarjoという国立高校です。私の住居からは、いつもその学校の副校長先生の車で15分ほどかけて行きます。毎朝、学校に近づくにつれて、バイクに乗る多くの学生を目の当たりにします。私が授業に入るクラスは、IPSという社会系のクラス、IPAという理科系のクラス、そして、BHSという言語クラスです。初日には、朝礼の際にこのように歓迎してくださいました。

授業の一コマ

我々NPは、決してNPだけで授業を進めません。CPの先生と共に授業に入り、CPの先生の補助や生徒の目線になって一緒に日本語を勉強します。日本語を学習する生徒が「日本語は楽しい」と思えるように、我々NPはCPの先生と協力して授業の打ち合わせをします。時には、文化紹介という形で、日本のものの紹介や、体験学習も企画します。
大変なことは幾つかあります。例えば、インドネシアでは、日本語の「こんにちは」をSelamat Siangと言います。しかし、日本語と違うのは、これを、「さようなら」の代わりにも使うという事です。そのせいか、はじめCPの先生は、授業の始めと終わりに「こんにちは」と言っていました。これはもちろん、日本人としては不自然なので教えようと思いましたが、既にこのスタイルがCPの先生と生徒の間で定着していました。生徒の前で訂正するとCPの先生の威厳が保たれないのではないかと思いとても気を遣いました。そこで、職員室でこっそりCPの先生に教えると、知らないことを知れたようで、とても嬉しそうでした。今では、授業終わりにさよならを使います。
文化紹介として、たこ焼きを生徒と作った時は、調味料に何が使われているのかを気にしないといけませんでした。国民のほとんどがムスリムであるインドネシアでは、豚肉を食べる文化がありません。一方、日本のたこ焼きに使うソースはほとんど豚肉エキスを含んでいるので使えませんでした。そこで、ソースの代わりに、サンバルというインドネシアでは定番のピリ辛の調味料を使用しました。

生活面で使う言語にも苦労しています。先程述べたように1カ月の大阪研修でインドネシア語を勉強したものの、やはり、1カ月という短期間ではマスターできず、さらに、私の地域では、ジャワ語も混じっているので、それも併せて日々勉強です。しかし、日本語を教える身として、教えている同期間に自分も言語を学んでいるというのは、生徒が言語で躓くのも共感できるという点でとてもラッキーなことだと感じています。
まだ派遣されて、2カ月弱ですが、こんなにも収穫することが多くて、とても充実しています。このお返しをするという意味でも、この学校を盛り上げていくとともに、日本語って楽しいと思ってもらえるように残りの活動を頑張りたいと思います。

たこ焼き
紙かぶと
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