平成27年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた
「重点テーマ」

重点テーマ・目的・期待する効果等

(1)テーマ

学部の学びの中心となる演習科目(ゼミ)における学習成果の調査。

(2)目的

  1. 両学科の初年次ゼミにおける学習成果を調査することで、学部におけるアカデミック・スキルを明確にする。
  2. 2年次以上のゼミにおいて、ディプロマ・ポリシーがどの程度達成されているか、学部の学びの根幹としてゼミが充分に機能しているかを調査する。
  3. 学部での学びの根幹であり、もっとも授業時間外学習を必要とするゼミを調査対象とすることで、事前事後学習の実態を調査する。同時に、調査を行うことで、学生の自覚を促す。
  4. 1. と2. を併せて実施し、新カリキュラムにおいて4年間必修となったゼミでの学習成果を追跡調査してゆくことで、学部教育(カリキュラム・ポリシー/ディプロマ・ポリシー)の達成度と課題を明らかにする。

(3)期待する効果

学部再編に伴う新カリキュラムの初年度にあたるH27年度より、ゼミの充実をテーマに学習成果を継続的に追跡調査していくことで、新カリキュラムを検証しながら完成を目指したい。
具体的には、学問的専門性が身に付いているか、専門性を極めるために学部提供科目が学問的体系をなしているか、専門知識が順次的に深められているか、ということに重点をおいて、学部の学びを統合して深めるゼミにおける学習成果の実感を調査することで、達成度と課題が明らかになると思われる。ゼミにおける学習成果の実感は、個人による調査研究・グループワーク・フィールドワーク等による応用実践といった、授業時間外学習の充実と連動して得られるものであるので、調査の結果分析をとおして学部教育の総合的な達成度を検証することが可能となる。

学部授業・カリキュラム改善に向けた中間報告(春学期の集計結果を踏まえ、学部長が作成)

文化学部における春学期の学習成果実感調査は、必修のゼミ科目——新カリキュラムの「入門セミナー」(国際文化学科)、「京都文化フィールド演習」(京都文化学科)、旧カリキュラムの2年生科目「文化基礎演習」——を対象に行った。目的は、①事前事後学習の実態を調査すること、②ゼミでの学習成果の実感をとおして学部教育目標の達成度を測り、今後の課題を明らかにすること、である。
まず設問1(出席率)と2-1(シラバスの確認)については、全学平均を上回る高い結果がでた。(1:4.88, 2:4.13)ゼミでの学習形態となるグループワーク(設問4)・フィールドワーク/調査研究(設問5)についても、その意義やおもしろさは充分に実感されている。(4:4.18, 5:4.16)さらに、文化への理解の深まり(設問6)や、授業の満足度(設問7)においても、それぞれ4.30、4.34という高い結果が示されている。これらのことから、学部の学びの根幹となるゼミが、うまく機能していることがわかる。
しかしながら、事前事後学習の時間(設問3)については、3.06(約1時間程度)という結果であった。これは、全学平均の2.09を上回る数値であるが、ゼミに特化して考えると低いと言わざるを得ない。
この結果を科目ごとに見てゆくと、学習時間については、1年生の体験型ゼミにおいて1時間未満という低い数値であることがわかる。(「入門」2.47、「京都」2.34)2年生の従来型ゼミ(「基礎演習」)では3.88、約2時間である。しかし学部全体平均が示しているように、ゼミの形態によらずに、満足度は高い。(「基礎演習」4.43、「京都」4.66)このことは、今後、体験学習型/調査研究型、両タイプのゼミにおいても事前事後学習を促すことで、満足度を下げることなく、さらに文化への理解を深め、学部の教育目標を実現していける可能性を示唆している。
今年度より必修となった「入門セミナー」については、設問1(出席)と設問4(グループワークの意義)以外は、4.0を下回る低い結果となった。これは、このゼミの目的が大学での学びの環境への適応、仲間作りや、モチベーションの形成にあり、調査研究(設問5)をとおして、文化への理解を深める(設問6)には至らなかったことが原因と思われる。満足度(設問7)は高い(4.02)ものの、学習内容の再検討は今後の課題である。
学部全体の課題は、事前事後学習の時間、のみならずその内容を充実させる方策を検討することである。そのためには、ゼミと他の学部開講科目との連関性も考慮してゆくことが必要になると思われる。来年度以降も引き続き、追跡調査を続けることでカリキュラムの検証に役立ててゆきたい。

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