国際共同研究
日本・フィンランドの戦後の経済と社会の比較研究
ユヴァスキュラ大学(フィンランド)と京都産業大学は、第二次世界大戦後の経済および社会に関して経済学、歴史学、経営学など多角的視点から両国の比較分析をおこなうための国際共同研究グループを結成した。
日本・フィンランドの経済成長
この一世紀半近くの間、フィンランドと日本は世界的に見て高い経済成長を実現してきたといえる。表1は、Maddison (2003)により推計された国別長期パネルデータをもとに、フィンランドと日本を含めた5カ国の成長率を比較したものである。表は、これら5カ国の各年GDPおよび人口が比較可能な1870年から2001年までの期間において、GDPおよび1人当たりGDPの平均成長率を示している。
人口成長の影響を除いた1人当たりGDPでみると、同期間の平均成長率はフィンランドが年率2.22%、日本が2.58%であり、他の諸国に比べ高い。さらに、第二次世界大戦後の両国の経済は、似通った歴史をたどっている。両国とも、戦後復興を速やかに成し遂げるとともにその後の高度経済成長へとつなげ、70年代から80年代にかけても他のOECD諸国よりも高い経済成長を維持し、また、80年代の終わりから90年代の初めにかけて大きな経済失速を経験している。戦後の両国の経済成長率の推移から、このように多くの共通点を読みとることができる。
表1 フィンランドと日本の平均経済成長率
(注)データ出所はMadison, Angus (2003), The World Economy: Historical Statistics,
Development Centre of OECD。
原数値は1990年ゲアリー=ケイミス・ドル表示。
人口成長の影響を除いた1人当たりGDPでみると、同期間の平均成長率はフィンランドが年率2.22%、日本が2.58%であり、他の諸国に比べ高い。さらに、第二次世界大戦後の両国の経済は、似通った歴史をたどっている。両国とも、戦後復興を速やかに成し遂げるとともにその後の高度経済成長へとつなげ、70年代から80年代にかけても他のOECD諸国よりも高い経済成長を維持し、また、80年代の終わりから90年代の初めにかけて大きな経済失速を経験している。戦後の両国の経済成長率の推移から、このように多くの共通点を読みとることができる。
表1 フィンランドと日本の平均経済成長率
1870-99 | 1900-13 | 1920-38 | 1946-69 | 1970-89 | 1990-2001 | 1870-2001 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GDP成長率(年率:%) | |||||||
フィンランド | 2.61 | 2.88 | 4.66 | 4.78 | 3.45 | 2.06 | 3.07 |
日本 | 2.35 | 2.49 | 3.51 | 9.59 | 4.19 | 1.12 | 3.60 |
スウェーデン | 2.10 | 2.21 | 3.34 | 3.77 | 2.02 | 1.71 | 2.53 |
英国 | 2.16 | 1.51 | 1.88 | 2.50 | 2.41 | 2.22 | 1.91 |
米国 | 3.97 | 3.95 | 1.67 | 3.80 | 3.29 | 2.92 | 3.41 |
1人当たりGDP成長率(年率:%) | |||||||
フィンランド | 1.19 | 1.82 | 3.76 | 3.90 | 3.05 | 1.72 | 2.22 |
日本 | 1.52 | 1.25 | 2.06 | 8.21 | 3.28 | 0.88 | 2.58 |
スウェーデン | 1.41 | 1.47 | 2.95 | 3.00 | 1.72 | 1.37 | 1.94 |
英国 | 1.24 | 0.70 | 1.80 | 1.96 | 2.24 | 1.86 | 1.42 |
米国 | 1.76 | 2.01 | 0.55 | 2.20 | 2.28 | 1.71 | 1.88 |
Development Centre of OECD。
原数値は1990年ゲアリー=ケイミス・ドル表示。
国際共同研究グループ
本プロジェクトで取り上げられる研究テーマおよび各テーマを担当する共同研究者は表2の通りである。国際共同研究を実りあるものにするため、研究の実施にあたっては両国の研究者が協力して各テーマの研究に取り組み、論文を共同執筆していくこととなっている。両国の研究者の共同作業を通じて、両国間の研究交流がより活性化されるものと期待される。研究成果は論文集の形でまとめられ、英文および邦文で出版される。本プロジェクトは、各研究テーマに関する議論を通じて両国の研究者が学識を深め合い、異文化間での研究協力をより発展させる礎となることを目指すものである。
表2 研究テーマと共同研究者
表2 研究テーマと共同研究者
テーマ | 共同研究者 (日本) |
共同研究者 (フィンランド) |
---|---|---|
80年代から90年代にかけての金融危機とそこからの脱却 | 西村 佳子 | Jari Eloranta |
教育が経済発展にもたらす効果(人的資本論) | 田中 寧 | Olli Turunen |
ノキアとドコモの比較研究 | 井村 直恵 | Jari Ojala |
上田 昌史 | ||
陳 韻如 | ||
エネルギー資源と規制 | 朴 勝俊 | Esa Ruuskanen |
経済発展への政府の関わり | 菅原 宏太 | Maare Valtonen |
福井 唯嗣 | Merja Uotila | |
対外直接投資(FDI)と国際化 | 井川 一宏 | Pasi Sajasalo |
中国とインドの関係 | 村田 素男 | Jukka Jouhki |
経営文化 | 玉木 俊明 | Heli Valtonen |
情報ビジネス | 岡部 芳彦 | Turo Uskali |
造船業 | 柴 孝夫 | Petri Karonen |
コーポレートガバナンス | 井村 直恵 | Pasi Sajasalo |
人口変動 | 齋藤 健太郎 | Ilkka Nummela |
経済理論の役割 | 玉木 俊明 | Timo Särkkä |
研究セミナー(京都)
セミナー日程 | 2010年3月23-26日 |
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開催場所 | 京都産業大学キャンパス |
主催者(フィンランド側) | Jari Ojala教授(ユヴァスキュラ大学) |