平成29年度 秋学期 公開授業&ワークショップ 実施報告

実施日時・場所・参加人数

  1. 公開授業:コンピュータ理工学実験B、10名程度参加
  2. ワークショップ:秋学期13名参加

ワークショップでの意見交換内容

本学部では、講義に関しての一般的な教育スキルの議論、講習を行うことは多分に形式的な内容に陥りやすく有効ではないという認識から、学部カリキュラムにおける具体的な科目をテーマとして、その現状の共有と問題点の改善に対して学部全教員での議論を行っている。教授会での議論の時間は限られるため、ワークショップを学部全教員での議論の機会とし、共有された問題点の学部教務担当者を中心としたカリキュラム委員会への答申を行っている。
平成25年度は「基礎プログラミング演習Ⅰ」、「基礎プログラミング演習Ⅱ」、「発展プログラミング演習」および「発展プログラミング演習Ⅱ」の公開授業を行い、新たに試みた少人数クラスの教育効果に関して検討を行った。平成26年度はこれら4つのプログラミング演習科目で単位を修得出来なかった学生が受講を義務付けられている再履修クラスおよび応用プログラミング演習(3つのクラス)の公開授業と合わせてワークショップで意見交換を行い、プログラミング演習改革の総合的な検討を完了した。
今年度は2年次生の必須科目である「コンピュータ理工学実験A・B」(以下、「学生実験」とする)の現状の理解と問題点の改善方法の検討をテーマとして、春・秋の公開授業およびワークショップで対象とした。学生実験は1名または2名の教員が単位となり独自の実験テーマを設定しており、全体で9の異なるテーマから構成されている。履修学生は配属されたグループに指定された複数のテーマを1年間かけて回る。多様な実験テーマを学べることがメリットである。一方、各実験テーマでの教育目標、内容、レポート課題の実施状況(フィードバックの有無など)および成績評価は、担当教員に一任されているため、教員の教育観により大きなばらつきが存在することが教育実感調査などで顕在化している。また、実験テーマの内容の大部分は本学部の開設時に設定されているため、近年の履修生の勉学意欲の低下に十分に対応できているかどうかの再検討も必要である。2回のワークショップでは実験担当者だけではなく、担当していない教員にも現状の問題点を共有してもらい、学部全体での4年間の教育カリキュラムにおける学生実験の意義づけに関して意見交換を行った。学生実験はレポートのまとめ方などを訓練することを主目的とするのか、それとも専門科目の履修への導入を目的とするのかに関して多様な意見が出された。各担当者の教育観により多様化することは避けられないが、多様性に柔軟に対応できない履修生が増加している現状からは、教育目的と成績評価などに関しては最低限の方針の共有が必要ではないかと考える。学生実験の改善は、情報理工学部への移行と合わせて継続して議論する必要があると考える。
基礎数学科目である「微分積分学Ⅰ・Ⅱ」および「線形代数学Ⅰ・Ⅱ」は今年度から本学部のスタッフが担当責任者となり、非常勤講師と協力して実施している。今年度は基礎数学科目の改善状況に関する検討をワークショップで行う計画であったが、来年度から移行する情報理工学部では基礎数学科目が必修科目から外れることになり、かつ「微分積分学Ⅰ・Ⅱ」は習熟度別クラスを実施することなどの大きな状況変化のために、今年度の検討は見送り、来年度以降に検討を行うこととした。習熟度別クラス導入の背景には、入学時での学生の高校数学の理解レベルが大きく分散することによる理解不足の学生の増加がある。このため、入学時に実施する高校数学の理解度テスト(プレースメントテスト)の成績から3つの習熟度別クラスに割り振ることを計画している。この変更の経緯と具体的な方法などに関して、ワークショップにおいて担当者から概要の説明が行われた。
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