学部長からのメッセージ

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経営学部長 具 承桓(ぐ すんふぁん)

「グローバル化」、「イノベーション(革新)」、「チェンジ(変化)」。最近、我々はこれらのことばをよく耳にします。これらの言葉は、「今」を象徴する言葉かも知れません。
一見自分たちと関係なさそうなこれらのことばですが、実は我々の生活パターンや様式、行動に影響を与えています。簡単な例を挙げるとすれば、Apple社の共同設立者の一人であるスティーブ ジョブズが世に出したスマートフォンが挙げられます。スマートフォンで目を覚まして、日程を確認し、電車やバスの時間を見て、家を出る。時にはゲームをしたり、世界のニュースをチェックしたり、友だちや恋人とSNSを駆使しておしゃべりする。一枚の鉄の板がもたらした「イノベーション」によって我々の消費パターンと行動などは世界と繋がります。
それでは、ここで日本の今を見つめてみましょう。日本企業は高度成長期とは全く違う状況に置かれています。もちろん健全な企業はありますが、凋落する代表格の日本企業、今までは無縁だった不祥事なども目立ちます。かつて技術大国として強みを有していた日本企業ですが、新しい挑戦に直面しています。新興国市場や成長市場の多様化、新興国企業のキャッチアップ、新しいビジネスモデルの誕生と革新など、ICTを駆使し想像もできなかった新しいビジネスモデルを武器に世界舞台にする企業も少なくありません。また、企業の活動舞台は海外企業や顧客との接点を持っており、その活動舞台も一層広がっています。こうしたイノベーションとグローバル化の流れの中、「日本と世界」ではなく、「世界の中の日本」という考え方が大切になってきます。さらに、日本社会は少子高齢化、多様な働き方、格差問題、地域再生、福祉・介護、年金などの社会問題なども克服しなければなりません。この渦中にいるのが、我々です。
さて、皆さんはどうでしょうか。これらのことは他人事ではありません。こうした問題や動きに積極的に取り組む意識を養い、問題解決に向けて果敢に挑戦する人材を社会は求めています。世の中の変化に向き合って自らの意志できちんと歩んでいこうとする自分の姿を想像したいですが、何かしら不安な気持ちに抑えられている人も少なくないのが現状です。高校生の皆さんも、大学生活を楽しんでいる在学生もそれほど変わらない悩みだと思います。自ら力強く堂々と生きていき、社会に貢献し、自分が幸せを感じるためには、どうすべきか。残念ながら、それは「希望」や「夢」、「使命感」や「がんばる」精神力だけでは解決できないものです。

では、今できることを考えてみたい。
社会では、様々な人と関係を持ちながら、何らかの集団、あるいは組織に属して生活を営んでいます。その集団や組織は時には協力し合い、時には競争し合いながら成長し、変化していきます。我々はどこかの集団(組織)に属しており、その組織が発展し生き残るために、常に変化する環境に対する主体的な意識と判断、それを他の人と一緒に行動する過程があります。そこには皆さんに期待する何かの能力があります。それは、様々な集団や組織の中で、事の原因を的確に把握し、自分の意見や考えをきちんと伝える自己表現力を基に、周りの人々を束ね、問題解決をしていく努力を惜しまない行動力が必要になります。我々はこれらを「マネジメント能力」と呼びます。具体的にいえば、「組織運営の様々な局面で発生する問題を多様な視角から捉えて、それに対する解決の方策を見いだし、それを実行するという意思決定が出来る能力」を持った人材です。皆さんが後に迎える社会や企業には欠かせない能力でしょう。
そこで、本学が目指しているのは、そうした「マネジメント能力」を備えた人材育成です。この能力を備えた人材が、京都産業大学経営学部を巣立ち、企業をはじめとする社会の様々な分野の組織を動かしていく、これこそ私たち京都産業大学経営学部の目指すところなのです。「マネジメント能力」を養える様々な教育プログラムと挑戦できるプランや機会を本学部では用意しております。
本学部では、まず1年次に配置している科目群(イントロダクトリー科目)を、じっくりと勉強してもらいます。さらに2年次にはこれらの経営諸科学の基礎を発展させた「インターミディエイト科目」を学び、上級学年の深化した専門的知識と経営諸科学についての知識を融合させつつ、汎用性と専門性の高い「マネジメント能力」を高めていきます。さらに、今日のようにより一層高度な「マネジメント能力」を必要とするようになった社会の要求に応えて、本学では大学院にマネジメント研究科を設置しております。この研究科は、経営諸科学の勉強をしてこなかった他の専門領域出身の方々にマネジメント能力をつけていただくことを基本コンセプトとして設置しましたが、学部で学ばれた皆さんには、そこで培われた「マネジメント能力」をより一層錬磨していただくことも大きな柱としています。もちろん、本学部ではグローバル化やICT(情報コミュニケーション技術)といった時代の要請に通用する「マネジメント能力」向上を目指し、教育内容に展開しています。
AI時代とも言える将来を見据えて考えると、当然ながら単純な知識の詰め込みや暗記力だけでは将来には不十分で、全然関係ないように見えるものが、実は何かわからない繋がりや原因があって、その影響の連鎖によって、様々なことが起こりうることを探求していく、いわば、世の中の流れや変化、社会の営みの根底にある「因果関係」の探求が大切だと思います。それで、経営学部の教育プログラムでは、3年間のゼミ(演習)を重視する体制をとっています。映画『ジュラシックパーク』にも登場する、イアン・マルコム博士が唱えた、「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークに雨が降る」のカオス理論のように、世の中の社会現象やビジネスの世界の不思議な因果関係の探求と共に、論理力の向上を自ら図れる環境とサポート体制を本学部は整えており、更なる進化を図っております。
本学部は2017年開設50周年(1967年開設)を迎えました。大きな節目の時、私たち経営学部の教員とスタッフは更なる発展と成長を目指し、新しい取り組みを始めております。例えば、本学部が卒業生と在学生の新しい関係づくりの支援、在学生(卒業生とのタイアップ)によるビジネスプランをバックアップするクラウディングファンディングのスタート、継続的な現役会計専門家合格者(公認会計士、税理士、国税専門官など)の輩出を目指す「実践経営会計教育研究会」を立ち上げ、学部としてバックアップ体制を構築しています。「ゆめ」が「夢」に終わらず、現実にしていくために必要な「マネジメント能力」を養える教育体制を着実に進めております。
日本社会に新しい活気と活力を与え、「グローバル化」の時代に、新たな「イノベーション(革新)」を起こし、「想定外」を「想定」に変え、新しい時代の「変化」を引き起こし、創造していく「ひとづくり」に邁進しています。将来、日本の社会を根底から支えてくれる、そうした人材を世に送り出すこと、それほどの喜びはないと、私たち京都産業大学経営学部の教職員一同は思っています。

2017年4月吉日

経営学部長 具 承桓(ぐ すんふぁん)

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