生命科学部 生命科学セミナー開催(5月8日)

タンパク質動態研究所セミナー/生物化学セミナー

中野 沙緒里 博士(京都産業大学生命科学部)

「オートファゴソームの静電的成熟」

細胞内大規模分解系のオートファジーにおいて、細胞質成分はオートファゴソームによって隔離される。リソソームは形成途中の膜ではなく、完成したオートファゴソームにのみ融合する。オートファゴソームとリソソームの融合に必要なSNAREタンパク質のsyntaxin17 (STX17) が完成したオートファゴソームにのみ局在することで、この融合は厳密に制御される。しかし、STX17が成熟したオートファゴソームをどのように認識するかについては不明である。本研究から、STX17のオートファゴソームへの局在は、C末端領域の正電荷アミノ酸とオートファゴソーム膜の負電荷との静電的な相互作用により制御されることが示唆された。さらに、成熟過程においてオートファゴソーム膜の負電荷量が形成途中よりも増加し、この負電荷はホスファチジルイノシトール4-リン酸の濃縮により増加することを明らかにした。負電荷量の増加を抑制すると、STX17のオートファゴソームへの局在効率が有意に減少し、細胞はオートファジー不全であることがわかった。以上の結果から、オートファゴソームは負電荷量を増加させることで、リソソームと融合可能な膜へと成熟すると考えられる。
日時 2019年5月8日(水)16:00 ~(15:45開場)
場所 京都産業大学 15号館1階15102セミナー室
交通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備考 事前申込不要・入場無料
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