総合生命科学部 バイオフォーラム2017開催(11月22日)

最先端の生命科学研究に触れてみませんか

稲葉 一男 教授(筑波大学 下田臨海実験センター)

「繊毛の構造・運動調節・進化」

繊毛は真核細胞から突出する毛状の細胞器官である。運動性のある繊毛は、基本的に9+2本の微小管から構成され、微小管には分子モーターである「ダイニン」が結合して運動を生み出している。繊毛の構造や運動機構は、原生生物からヒトに至るまで高く保存されている。このことは、繊毛の波打ち運動が細胞の水溶液中での運動や水流の発生に極めて重要であることを意味している。繊毛は、運動を停止させたり活発にしたり、あるいは波形を変えるなどの調節を行っている。この調節により、細胞の遊泳方向や上皮の周りの水流方向を変えることができる。この調節には細胞内のカルシウムイオンが重要な役割を果たしている。我々の研究室では、精子が受精の際に卵に近づいていく「走化性」に必要なカルシウム結合タンパク質を発見し、「カラクシン」と命名した。カラクシンは、カルシウム依存的にダイニンと結合して直接モーター活性を調節することにより、繊毛運動を調節している。本講演では、ホヤの精子やウニの遊泳胚、ならびにマウスの受精や器官形成におけるカラクシンの役割を中心に、繊毛運動の調節機構と進化について紹介したい。これ以外にも、海産生物を対象とした繊毛の構造、運動調節、進化に関する我々研究を紹介しつつ、「繊毛」から生物進化のメカニズムを眺めて見たい。

日時 2017年11月22日(水) 16:30~18:00(16:15開場)
場所 京都産業大学 15号館1階15102セミナー室
交通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備考 事前申込不要・入場無料
主催 京都産業大学 総合生命科学部
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