総合生命科学部 生命科学セミナー開催(3月7日)

第175回細胞生物学セミナー/総合生命科学部 生命科学セミナー

西田 栄介 先生(京都大学 大学院生命科学研究科)

「線虫を用いて寿命・老化の仕組みを探る」

生物は、様々な環境変化に対応する生存戦略を有している。生存優位性は、老化遅延(寿命延長)やストレス耐性上昇という形質として表出する。環境の一つである食餌は、個体の寿命・老化並びにストレス耐性の制御にとって、重要な役割を担っている。食餌制限は、哺乳類を含めて、様々な生物種の老化を遅延させることが知られている。我々は、線虫を用いて、食餌制限の一つである断続的飢餓(断続的絶食)による寿命延長機構並びにストレス耐性上昇機構を解析し、Rheb/TOR経路、インスリン/IGF-1シグナル伝達経路及び転写因子DAF16/FOXO、さらに、ストレス応答性MAPキナーゼ(KGB-1/JNK)経路及びその下流の転写因子複合体(JUN-1/FOS-1複合体)が重要な役割を担うことを明らかにした。また、DAF16/FOXO転写因子のエピジェネティック制御に関わるヒストンアセチル化酵素を同定し、その作用機作を解析した。最近、我々は、食餌制限を含む様々な環境ストレス刺激を成長段階において低用量で与えると、成長後のストレス耐性が上昇することを見出した(ホルミシス効果)。また、非常に興味深いことに、このホルミシス効果が次世代以降に継承されることが明らかになった。このホルミシス効果とその次世代への継承メカニズムを解析し、関与する転写因子やエピジェネティック制御因子を同定した。本セミナーでは、これら最近の我々の寿命・老化研究の進展について報告し、議論したい。
日 時 2017年3月7日(火) 16:00~17:30(15:45開場)
場 所 京都産業大学 15号館1階15102セミナー室
交 通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備 考 事前申込不要・入場無料
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