「京へのまなざし-観光をめぐる意識-」リエゾンオフィス主催 シンポジウム開催 後援:京都商工会議所

2016.08.05

平成27年、京都市には国内外から5,684万人の観光客が訪れ、9,704億円もの経済効果が生まれました。非常に人気の高い京都観光ですが、この人気は今に始まった話ではありません。室町時代の鹿苑寺(金閣寺)を描いた屏風には、参拝客の様子が描かれており、当時から京都は人気の観光地として賑わっていたのです。

しかし、明治時代に京都は大きく変化しました。天皇の所在が東京へと移り、京都の経済は衰退し始めたのです。また、明治政府の宗教政策により、京都の寺社は土地を奪われ、さらには寺院に対する破壊活動が起きるなどの大打撃を受けました。

この状況を打開するために、京都の寺院は「観光戦略」を打ち、全国だけでなく、それまで京都の人々が遠ざけていた「外国」からの参拝客を呼ぶことに成功し、窮地を乗り越えました。今回のシンポジウムでは、危機を乗り越え、京都屈指の名勝地と呼ばれるまでに至った鹿苑寺の室町時代から現在までの変遷や、京都の人々の「外国人」への意識の変化を題材に、京都人の「観光」に対する意識についてご紹介します。
開催日時 2016年10月1日(土)
開場 13:00 開演 13:30 終演 16:30(予定)
会場 京都産業大学 壬生校地 むすびわざ館 2階ホール
京都市下京区中堂寺命婦町1-10(京都市下京区壬生川松原下る)
交通アクセス
定員 350名(参加無料)
申込方法 【インターネット申込】
申込みは終了しました。

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【往復はがき】
郵便番号・住所・電話番号・氏名・性別・年齢・参加希望人数・質問内容等をご記載の上、以下の宛先にご郵送ください。
〒603-8555 京都市北区上賀茂本山 京都産業大学 リエゾンオフィス宛
※ご提供頂いた個人情報は、本学開催行事の案内以外には一切使用いたしません。

プログラム

講演1. 「攘夷」から考える京の明治維新(約60分)

文化学部 助教 笹部 昌利:【専門分野】幕末維新政治史、日本近代史

京都の人は「いけず」だと、よく言われます。それぞれの性格もありますが、それには京都の人における歴史意識が影響するのではないでしょうか。江戸時代の日本人は、とかく上下関係をもって物事を理解しようとしました。その関係は、親と子、大名と家臣、師匠と弟子というように多様に存在しました。

日本の内と外についても、立場の上下をもって理解しました。それを定義づけたのは、中国から移入した儒教観念です。中心を「華」、辺境を「夷」と評する華夷思想(中華思想)によって、外国を評価したのです。幕末の日本において取りざたされた「攘夷」論は、この華夷思想のうえに成立したものです。

ことに京都は、「攘夷」論の中心にあった土地でした。天皇を中心とする政治観と相合わさって、尊王攘夷思想として政治活動に援用されました。まさに外国が遠ざけられる場であったのです。それから、10年余りを経て、明治初年の京都は外国人を受け入れる場となりました。そこにはどのような意識の転換があったのかを考えていきます。

講演2. “鹿苑寺から金閣寺へ”-寺を支えた金閣と不動堂-(約60分)

文化学部 教授 鈴木 久男:【専門分野】歴史考古学(日本)

今や日本国内だけでなく、世界の人々を魅了する鹿苑寺(金閣寺)。足利義満の北山殿の遺構を受け継いだ寺院であり、開山以降、幾度も修築が繰り返され、寺観の整備がなされてきました。こうした工費の準備は、当時でも莫大なコストが必要であり、並大抵の苦労でなかったはずです。そうした状況の中、18世紀前半頃には、寺の経営状況が著しく悪化し始めた時期がありました。

その解決策として、空海作と言われる石不動が秘仏として祀られる不動堂が50日間にわたり公開されました。それと同時に金閣や客殿・書院においても「霊宝」が公開されたため、多くの参拝者が訪れました。その様子は、当時の金閣寺を描いた絵にも描かれており、現代における「観光客」を迎え入れていたことが分かります。この時の浄財により、鐘楼や大書院が再建されたと言われています。

明治維新には政府が発令した「神仏分離令」により大きな打撃を被ったものの、金閣への観覧誘致策が功を奏し、経営危機を乗り越えました。このような寺院関係者の努力により、京都屈指の名勝地と呼ばれるようになりました。

今回の講演では、こうした寺院関係者の観光戦略を紹介しながら、私が28年間調査してきた金閣寺の発掘調査から分かった最新の発見も紹介し、室町時代から現在までの金閣寺の変遷を考えます。

質疑応答

申込時に皆様から頂いたご質問などに、時間の許す限り講演者がお答えします。

講演者プロフィール

笹部 昌利(京都産業大学 文化学部 助教)

1971年、京都市に生まれ、1995年、本学経済学部を卒業しました。プロレスと阪神タイガースと京都サンガとロックンロール、そしてわが母校“産大”を愛する歴史研究者です。歴史学に大いなる関心を抱き、たくさんの書籍を読み漁りながら、ロックバンドに興じた学生時代を本学で過ごしました。卒業後、大学院時代も京都で過ごし、地方自治体で文化行政事業に関わり、京都、大阪に所在する複数の大学で非常勤講師を担当しました。その他、さまざまな仕事に携わりながら研究をつづけ、2014年、本学文化学部京都文化学科に着任しました。

鈴木 久男(京都産業大学 文化学部 教授)

愛知県の出身です。小学3年生の時、自作していた畑から土器が出てきました。これをキッカケに考古学に興味を持ち、この頃から遺跡歩きをしていたように思います。遺跡めぐりは高校生の時がピークで、本格的に考古学の道へ進み、大学時代は空いている時間の全てを発掘調査に費やしました。卒業後、約30年間、現公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所で鳥羽離宮跡や平安京跡の発掘調査に携わってきました。楽しく充実した日々を過ごし、2006年4月から京都産業大学に着任しています。

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