理学部物理科学科談話会のお知らせ(2013.01.09)

 サイン関数を用いたシステムの切断

日時 2013年1月9日(水)13:15〜
場所 京都産業大学理学部2号館3階 会議室
講演者 丸山 勲 氏(大阪大学基礎工学研究科)
題目 サイン関数を用いたシステムの切断
対象 学生(学部生・大学院生を問わず)、教職員

講演概要

 斬られても斬られたことに気付かない。時代劇でのワンシーンのような事が、量子力学でも起こり得る。例えば、1次元のリング上の電子系あるいはスピン系における絶対ゼロ度の基底状態を考える。このリングを切断し一本の鎖にする時、一般には系(システム)の変化に応じて基底状態も変化する。特に切断した端では、フリーデル振動等の影響が観測される。しかし、近年提唱されたサイン二乗変形[1]を用いると、この変化は完全に無くなる場合がある。つまりハミルトニアンは切断されたにも関わらず、基底状態は不 変なのである。これは、フーリエ変換の単純な性質により説明され[2]、最近では熱力学極限の物理量の直接計算なども提案[3]されている。講演では、この変形の算数レベルでの不思議さに触れながら、基底状態の重要な性質(量子絡み合い)を出来るだけ保ちながらシステムを複数に切断する時間発展[4]について議論する。

[1] A. Gendiar, et.al., Prog. Theor. Phys. 122, 953 (2009); ibid, Phys. 123, 393 (2010).
[2] IM, et.al., Phys. Rev. B 84, 165132 (2011).
[3] C. Hotta, N. Shibata, Phys. Rev. B. 86.041108 (2012) [4] IM, in preparation.

物理科学科 談話会世話人

 
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