理学部物理科学科セミナーのお知らせ(2011.02.23)

下記のように物理科学科セミナーを開催します。奮ってご参集くださりますようご案内申し上げます。

日時 2011年2月23日(水)13:15〜
場所 京都産業大学理学部 2号館3階会議室
講演者 村上 尚史 氏(北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門 助教)
題目 「フォトニック結晶を利用した次世代コロナグラフの開発−地球型系外惑星の直接撮像を目指して−」
対象 本学学生・教職員

講演概要

 近年、系外惑星(太陽以外の恒星を公転する惑星)が、主にドップラー法により次々と発見されている。ドップラー法とは、光のドップラー効果を利用し、惑星の公転による周期的な恒星のふらつきを間接的に検出する手法である。系外惑星の発見ラッシュの中、次なる大きなマイルストーンは、地球に似た惑星の直接撮像、および分光観測によるキャラクタリゼーションであろう。このような観測からは、大気組成に関する様々な知見が得られ、さらには生命活動の痕跡を発見できる可能性を秘めており、その科学的意義は極めて大きい。地球型系外惑星を直接撮像するためには、圧倒的に明るい恒星光(100億倍とも言われている)を強力に除去する装置(コロナグラフ)が必要不可欠である。

 我々は、フォトニック結晶を利用した新たなコロナグラフの開発に取り組んでいる。フォトニック結晶とは、光の波長以下のスケールで屈折率に周期性をもたせた構造体で、光を自在に制御できる次世代デバイスとして注目されている。我々が提案するコロナグラフは、フォトニック結晶マスクにより、恒星像の偏光状態を精密に制御する。これにより、恒星光を理論上、観測波長によらず完全に除去することが可能となる。我々は、「光渦マスク」および「8分割位相マスク」と呼ばれるコロナグラフマスクを試作した。光渦とは、等位相面が螺旋状の光波のことで、光ピンセットなどの用途に応用されている。また、8分割位相マスクとは、光渦を離散化することでマスク設計を大幅にシンプルにしたものである。これまでに、試作したマスクを用いたコロナグラフの室内検証実験を行い、高い観測性能の実証に成功している。本講演では、提案する観測装置の原理とその開発状況、期待されるサイエンスについて紹介する。

物理科学科 談話会世話人

 
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