高谷康太郎 准教授

理学部 数理科学科

山田修司 教授

宇宙の形あるものすべてに絡む、結び目理論の進化を目撃せよ!

ここに、ひとつながりの輪がある。が、複雑に絡み合っていて、切らずにはほどけそうにない。では、本当にほどけないのかどうか証明しろと言われたら、あなたならどうする?ほどけることを証明するのは簡単だ。やって見せればいい。しかし、その逆は難しい。がんばったけどムリでした…では許されない。最初は、数学者たちの娯楽から始まった「結び目理論」。それが今や、「トポロジー(位相幾何学)」の研究に欠かせないものに進化した。四次元空間に浮かぶ「宇宙の形」を予測する上で、さらに、微小な世界を扱う量子分野にも、結び目理論は顔を出す。京都産業大学の山田教授は、この理論を応用した計算機シミュレーションによって細胞核内のDNAの構造や形状変化を明らかにしようとしている。それは、宇宙の形あるものすべてに絡みついた謎の答えを手繰り寄せる試みでもある。

宇宙の形あるものすべてに絡む、
結び目理論の進化を目撃せよ!

ここに、ひとつながりの輪がある。が、複雑に絡み合っていて、切らずにはほどけそうにない。では、本当にほどけないのかどうか証明しろと言われたら、あなたならどうする?ほどけることを証明するのは簡単だ。やって見せればいい。しかし、その逆は難しい。がんばったけどムリでした…では許されない。最初は、数学者たちの娯楽から始まった「結び目理論」。それが今や、「トポロジー(位相幾何学)」の研究に欠かせないものに進化した。四次元空間に浮かぶ「宇宙の形」を予測する上で、さらに、微小な世界を扱う量子分野にも、結び目理論は顔を出す。京都産業大学の山田教授は、この理論を応用した計算機シミュレーションによって細胞核内のDNAの構造や形状変化を明らかにしようとしている。それは、宇宙の形あるものすべてに絡みついた謎の答えを手繰り寄せる試みでもある。

ほどける結び目とほどけない
結び目の違いとは…

三次元空間内にある輪を「結び目」といいます。また、輪ゴムのように単純な形に変形できる結び目は「ほどける」といいます。複雑で決して「ほどけない」結び目もあるのですが、ほどけないことを証明するには「結び目不変量」というものを用います。それは「結び目が形を変えても変わらない量」のこと。切ったりせずに別の結び目に変形できるのなら、2つは同じ結び目不変量を持ちます。反対に2つの結び目の不変量が異なれば、それらは変形しあえず、つまり「ほどけない」ことが分かります。

数学者の娯楽が、
宇宙の謎を解き明かす鍵に。

何千年にも及ぶ幾何学の歴史と比べれば、「結び目理論」の歴史は新しく、たかだか130年ほど。実は、最初は数学者の「遊び」から始まったものでした。それが、いくつかの発見と画期的な理論の進展を経て、今では「位相幾何学」の研究に欠かせないものになりました。三次元空間の多様体理論の中で数学的にどういう形がありえるか ——— 結び目理論を応用すると、それを簡単に作り出せます。例えば、宇宙を三次元の曲がった空間と仮定したら、結び目理論をもとに「宇宙の形」を説明できるかもしれません。数学史上最大の難問の一つだった「ポアンカレ予想」※の証明は、その理論をさらに進める大きな一歩でもあったのです。

※ポアンカレ予想とは、1904年にフランスの数学者アンリ・ポアンカレによって予想された位相幾何学における定理の一つ。数学史上の最大級の謎とされる7つのミレニアム懸賞問題のうち唯一、解決されている問題。

さまざまな領域に顔を出す「結び目」。

さらに近年、フィールズ賞受賞者のヴォーン・ジョーンズによる「量子不変量」という新たな不変量の提唱によって、素粒子理論や超弦理論といった量子分野にも結び目理論が登場し始めています。また、今日では、結び目を純粋数学的に研究するだけではなく、その形を数値実験することで研究を進める「ランダム結び目」の研究も行われています。例えばDNAは、染色体の状態から細胞核内に広がったり、逆に染色体の状態に戻ったりするために、一度切れて再びつながるという操作が必要となります。これは、結び目理論では「結び目解消操作」と呼ばれるもので、実際はトポイソメラーゼという酵素がそれを行っています。DNAの形が変化するためには、その操作がどのくらい必要になるか、ということも、数値実験で予想することが可能です。私は、こうした細胞核内におけるDNAの様相を調べるため、結び目理論の知識を用いたコンピュータシミュレーションの研究も行っています。

数学という人類の壮大な文化に
ふれてほしい。

このように、悠久の歴史をもつ数学は今なお驚くべき進化を遂げています。数学研究とはそのダイナミックな知的冒険を追体験することであり、皆さんには、その面白さ、素晴らしさを次世代に伝えていってほしい。また、数学は論証の科学でもあります。その研究には、自らの考えを誰もが納得できるように理論化し、説明することが求められます。そのためには発表や議論の場が必要で、皆さんが4年次にグループで挑戦する「特別研究※」はその絶好の機会となるでしょう。仲間との議論を通してあなたは、読み解く力、想像する力、伝える力を磨き上げていきます。それは今後、どんなにテクノロジーが発達しようとも風化することのない、あなたの確かな力となるでしょう。

※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

Challenging Voice

高校までの数学とは違う!
求められるのは自由な発想力。

理学部 数理科学科4年

梶原 恵梨奈さん

小学生になりたての頃に習っていた“そろばん”がきっかけで算数・数学好きに。また、高校時代の恩師の影響で教員の仕事に興味をもつようになり、数学をベースに教職をめざそうと、数理科学科を選択しました。そんな私にも、大学での数学研究は新鮮でした。ここでは、どんな問題を解くのにも自由な発想や柔軟な思考が求められます。特に興味を持ったのは、3年次に受けた山田先生の図形の授業。例えば、円も三角形も閉じているから同じ(同相)と考えて話は進みます。その前提から自由で、思いきり想像力を働かせないと理解できません。それが逆に面白く、特別研究も山田先生の研究室を選択しました。現在は、少人数のグループで「結び目理論」と「結晶群」について発表と議論を繰り返しています。理学部は研究者の層が厚く、研究分野も広い領域から選択することができます。また、先生と学生の距離が近く、どんなことでも相談できることも魅力。私も将来、子どもたち一人ひとりの顔を見て指導できる教員になりたいと思っています。

※学年表記は取材当時(2016年)のものです。

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