総合生命科学部 バイオフォーラム2013 開催(2013.10.29)

 最先端の生命科学研究に触れてみませんか

日時 2013年10月29日(金)
16:00〜17:30
場所 京都産業大学 15号館 1階 15102セミナー室
交通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備考 事前申込不要・入場無料・一般の方の参加歓迎
主催 京都産業大学 総合生命科学部

VEGFとその受容体による血管新生機構と、疾患との関わり

講師

上武大学学長、医学生理学研究所所長
(東京大学名誉教授、東京医科歯科大学分子腫瘍医学・客員教授)
渋谷 正史 先生

 我々脊椎動物は閉鎖血管系をもち、身体の各組織に栄養と酸素を供給している。
 すなわち血管系は身体を維持するために必須の組織であるが、それを制御する分子機構、特に血管内皮増殖因子(VEGF,vascular endothelial growth factor)と受容体システムについては、比較的最近になり全体像が明らかにされた。これを背景に、1970年代に米国Folkman教授が提唱した「固形癌に対する腫瘍血管阻害療法」は抗VEGF中和抗体やキナーゼ阻害薬として実現し、多くの固形癌治療に応用されるに至っている。しかし血管新生阻害療法に対する癌組織の抵抗性獲得も報告されており、さらなる解析が必要である。また、VEGF-VEGFRは癌以外にも様々な疾患に関連することが明らかになってきた。我々が最初に報告したFlt-1/VEGFR1遺伝子は胎盤において遊離型Flt-1(sFlt-1)mRNAを強く発現しているが、sFlt-1の異常発現亢進と産科における重要疾患である妊娠高血圧症候群の発症には、密接な関係のあることが明らかとなった。sFlt-1はこれ以外にも加齢黄斑変性症や腎疾患のネフローゼ症候群との関係が報告されている。さらに神経変性疾患とVEGF-VEGFRとの関連についても解析が 進んでおり、ALSの実験動物モデル系に対するVEGF治療の試みも始まっている。
これについて報告したい。

 
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