生命科学セミナー 開催(2013.04.25)

葉の複雑性を多様化させた遺伝子制御ネットワーク

演者 市橋 泰範 学振特別研究員
(カリフォルニア大学デービス校・理化学研究所)
日時 2013年4月25日(木) 15:00〜16:00
場所 京都産業大学 15号館1階15102セミナー室
世話人 京都産業大学 生命資源環境学科 木村 成介
主催 京都産業大学総合生命科学部

要旨

 どうして生物は多様なのか?葉の形の多様化は、植物が示す形態進化の代表例であるが、その背景にある遺伝的メカニズムは十分に理解されていない。そこで、私たちはトマト栽培種および近縁野生種が示す葉の複雑性の自然変異に着目して、この問題解決に取り組んだ。種間における葉の発生ステージごとの大規模なトランスクリプトーム解析により、葉の発生に関与する遺伝子制御ネットワーク内のモジュール構造を明らかにし、葉の複雑性の多様化に重要である遺伝子を予測した。実際に、この遺伝子がトマト近縁種間における葉の複雑性の進化を引き起こしたことを形質転換実験により証明した。加えて、この遺伝子との直接的な相互作用及びその下流遺伝子を明らかにすることで、どのように単一の発生制御遺伝子が形態を多様化させるのか明らかにした。これら一連の結果は、比較的単純な遺伝的メカニズムによって形態進化が引き起こされていることを示唆する。


 
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