第18回 生命科学セミナー 開催

演題 Regulation of Apoptosis and Chemoresistance in Cancer
演者 黒川 学 博士
Duke University Medical Center, USA
日時 2012年4月6日(金)15時00分から16時30分
場所 15号館1階 15102セミナー室
世話人 生命システム学科 佐藤 賢一(075-705-2916)
共催 京都産業大学総合生命科学部
文部科学省・科学研究費補助金(新学術領域研究)

要旨

 アポトーシスによる細胞死は、正常な組織発生・分化の過程で必須であるばかりでなく、生体に有害な異常細胞を除去する際にも重要な働きを果たす。例えば、ほとんどの化学療法はアポトーシスを癌細胞特異的に引き起こすことによって、その効力を発揮する。しかし、癌の進行と共に癌細胞の薬剤耐性獲得が生じると、その化学療法も治療初期ほどの効果を期待できなくなる。癌の薬剤耐性獲得にはさまざまなメカニズムが報告されていているが、薬剤の標的タンパクに変異を生じている場合とそうでない場合に大別できる。本セミナーでは、レセプターチロシンキナーゼHER2を発現している乳癌細胞におけるHER2変異を伴わないアポトーシスの抑制と、HER2阻害剤lapatinib(臨床名Tykerb)に対する耐性獲得について、最近の研究成果を紹介したい。またセミナー後半では、慢性骨髄性白血病とその原因遺伝子BCR-ABLを例にとり、BCR-ABLの変異に関わらず、BCR-ABLのチロシンキナーゼ活性によりアポトーシスを誘導する、新しい治療法の可能性を紹介したい。

 
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