日本語実践会話を体験して

インドネシア語専修 3年次生 宮下 愛美







 今回私は、初めて日本語実践会話に関わるボランティアに参加させてもらいました。元々日本語教育に興味があり、大学の講義で日本語教員養成コースを受講していたので、この取り組みに参加するにあたって、とても楽しみでたまりませんでした。というのも、卓上の勉強でしか日本語教育を学んでおらず、実践をしたことがなかったので、今回この機会に私もたくさんのことを学びたいと思ったからです。不安と緊張と期待で始まったボランティアでしたが、実際に経験してみると、想像していたよりもずっと大変で、とてもやりがいのあるものでした。

 まず、自己紹介をして、どちらからともなく質問をします。私がする質問は、インドネシアのどこ出身か、日本食で何が好きか、など、答えやすいものから始まり、慣れてくると、なぜ看護師になりたかったのか、将来の夢など、少し難しい質問をしてみました。もし上手く伝わらない部分が出てくると、インドネシア語の辞書で単語を引いてもらったりして、媒介語(このときはインドネシア語)を使っていました。

 けれども、私が逆に質問されたときが一番苦労しました。どこまで日本語を理解しているのかを把握していなかったため、分からない言葉を発してしまったとき、それをかみ砕いて説明するのが難しかったです。例えば、「なぜインドネシア語を勉強していますか?」と聞かれたとき、「去年の夏休みに、バリ島の孤児院でボランティアをして、インドネシアが大好きになったからです。」と答えたかったのですが、“孤児院”という言葉がなかなか伝わりませんでした。日・イン辞書にも、“孤児”という単語はあっても“孤児院”という単語は載っておらず、悪戦苦闘していました。するとそこへ先生が来たので、理由を説明すると、そのインドネシア人の生徒さんにとても分かりやすく説明してくれました。ゆっくりと、媒介語を使わず、簡単な日本語だけでの説明で、生徒さんたちも意味を分かってくれたようでした。私は、今まで辞書を使って理解してもらおうとしていたので、正直すごく衝撃と感動を受けました。辞書で引いてばかりでは、日本語を“話す”という活動が疎かになってしまうし、私のためにもならない、ということに気付かされました。

 それからは、辞書を使わず、簡単な日本語だけで説明する努力をしました。これがとても難しく、なかなかスムーズに伝わらないときもありましたが、そんなときは絵を描いて説明しました。するとその場がとても盛り上がり、本当の友人のように会話を楽しむことができました。初めから“教えよう”と心構えをせず、まずは楽しんで会話ができるような空間作りが大切なのだということが分かりました。また、辞書に頼るのではなく、生徒が知っている言葉を使って伝えることがとても大事ですし、とても難しいことなのだということも学びました。終わってみればあっという間の体験でしたが、学ばされることがたくさんあり、とてもいい体験になりました。

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