紀之定 真理恵(ドイツ)

 私は三回生の秋学期から一年間ケルン大学へ留学させて頂きました。全く土地勘のないところへ一人きりで行くのはやはり少し不安が伴いましたが、半年先にケルンへ来ていた留学生に助けてもらいながら順調に生活をスタートすることができました。もちろんあまり人に頼ってしまっては自分の成長には繋がりませんが、現地到着後はしなければならないことが山のようにあり、到底一人ではどうにもならないこともあります。時には素直に助けを求めることが必要になると思います。そしてその時に与えられた親切は、新たにやって来る留学生に繋げていってほしいと願います。

 ようやく少しケルンにも慣れ始めた頃、短い秋が終わって過酷な冬が始まりました。寒さもそうですが、日照時間の短さに気分が落ち込んでしまうこともありました。しかしそのおかげで春の訪れへの喜びもまた格別でした。ドイツに行ってみれば何故あれほどドイツには春を喜ぶ詩が多いのかということに合点がいくと思います。ドイツは自然が豊富なので春は非常に美しく、リスやウサギなどの小動物もよく目にします。私もよくライン川沿いを散歩したりしました。またケルンがあるノルトラインヴェストファーレン州は学生証があれば州内は無料で電車やバスに乗車することができるので、アーヘンやミュンスターなど、近くの街に日帰りで出かけてみるのもお勧めです。そして何よりも忘れてはならないのはケルン大聖堂です。目の前に見る迫力は凄まじいものです。時間帯や季節によって様々な表情を見せるこの大聖堂は何度でも訪れたくなる特別な場所となりました。

 大学では日本学科の学生たちととても仲良くなりました。勉強の上でもお互いに助け合うことができたし、彼らと話しているうちに私たち日本人の何気ない言動がどのようなイメージを与えているのかということも学べてとても面白かったです。またドイツ語で日本語を説明するというのも語学を上達させるのに大変役立ったと実感しています。語学学校の授業はもちろん大切ですが、たった一年しかないならドイツでしかできないコミュニケーションの練習に力を入れることも忘れてはならないと思います。

 言わずもがな留学生活は楽しいばかりではありません。しかし日本では決して味わうことのできない苦労を経験し、それを乗り越えることは人生において必ず貴重なものとなるはずです。是非若いうちにこそ逆境に身を置いてみてください。

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