白井 佳南(ドイツ)

ドイツ留学体験記(ケルン)

ケルンの大聖堂

  私は2008年9月から2009年7月までまでの約11ヵ月間をドイツのケルンで過ごしました。主な目的は語学力の向上、異文化を見て感じることでした。ここに留学生活の一部を書き記したいと思います。

大学の授業

 ケルン大学では主に語学の授業と日本学科の授業に通っていました。日本学科の授業では茶道の授業を受けました。授業中、私が京都の大学から来たと知っていた先生は「京都で有名な三千家は?」と私に質問されましたが思い出せず、答えられませんでした。「表千家、裏千家、武者のこうじ千家」という答えを聞いて、あ!そっか!!となりました。この時私は日本人として、京都の学生として知らないことが多すぎると気付き、それが恥ずかしかったです。

 また、ドイツ語の音声学の授業もとっていました。最初の頃は先生のおっしゃることが聞き取れず苦労しましたが、回を重ねるごとに専門用語も理解できるものが増え、聞き取り能力が徐々に上がっていくことが実感できました。学期末には筆記試験と口頭試験がありました。口頭試験後、先生に「先日のあなたの筆記試験はとてもいい点数でした。しかしこの口頭試験の結果では単位はあげられません」と告げられたのです。この授業の単位を京産の音声学の単位に変えてもらおうと目論んでいたこと、授業に真面目に参加していたことからかなりのショックを受けました。

 先生がお情けで単位をあげることなんて有り得ないし、単位取得には授業で学んだ全ての領域において高い水準の結果が求められる。これがドイツの大学なんだ。と自分に言い聞かせて、悔しさを抑えました。 幸い授業への取り組みは認められて、参加証明書はいただくことができました。


旅行

ケルンの大聖堂

 旅行は月に1回は必ず行っていました。色んな所に行きました。ベルリンでは壁を見て触ることができましたし、博物館も巡りました。ミュンヘンではオクトーバーフェストの熱気を肌で感じました。そんな中でも私のお気に入りはブレーメンです。町並みがとてもかわいらしいんです。あの有名なブレーメンの音楽隊の像は街を歩いているとひょっこり現れます。そして意外にも(?)こじんまりしています。ロバの足を触ると幸せになれるそうですよ^^

 他にも冬休みにはスイスに一人旅に行きました。自分で飛行機やホテルの予約をして、プランを立てて行きました。一人旅なのでこの程度のことは当たり前なのでしょうが、この留学が私の海外初渡航だったということを考えると、我ながら一人でできることが増えたなぁと感じていました。


アルバイト

アルバイト先にて

アルバイト先にて

学生寮

学生寮

 こんな調子で渡航前に思っていたよりも旅行していたので、留学後半に差し掛かると私の留学資金は結構少なくなっていました。このままでは帰る頃に所持金ゼロということになりかねない!!と焦った私はバイトをすることを思いつきました。
 日本学科の近くにある日本料理レストランに張ってあったバイト募集の張り紙を見て、思い切って店にメールを送りました。ドイツ語で書いたメールを送る瞬間は本当に緊張したのを覚えています。だからかかってきた電話の相手が日本人だとわかったときは拍子抜けしました。
 無事雇ってもらえることになり、このレストランがデパートで出しているお寿司売り場で、私は働くことになりました。まずやったことは、ネタをドイツ語で覚えることです。これは今でも私の一芸と言えるでしょう。接客では挨拶に気をつけました。日本では買い物の最後は「ありがとうございます」「またお越しくださいませ」などと言われると思いますが、ドイツでは「この後も良い1日を過ごしてください」「良い週末を」と言われることが多いです。だから私もこれが言えるように心がけていました。そしていつも緊張していたのはお金の計算です。それまでレジを打ったことがなかったので、最初の頃はよく間違えてしまいました。今でも非常に申し訳ないですm(__)m

 あるときお客さんに「あなたは折り紙が折れるの?」と聞かれたことがあります。もちろん「折れますよ」と答えましたが、このとき「あ、そういえば私って折り紙折れるやん」と思い、日本人だったら当たり前だけど他の国ではそうじゃないことがこんなところにもあるのかと気付かされました。ほかにも、こちらが日本人とわかっているからか、注文をゆっくり言ってくださるお客さんは多かったですし、少なくともお寿司を食べに来てくれるドイツ人はみんな優しい人だ、と私は思っています。

 計画性のなさが生んだきっかけで始めたバイトでしたが、結果としてなかなか出来ない経験ができました。

ケルンの居酒屋にて

ケルンの居酒屋にて

ブレーメンにて

ブレーメンにて


ケルン日本文化会館の近くにて

ケルン日本文化会館の近くにて


帰国後

 関空から京都までの新幹線の中で、私は外の風景を眺めていました。小さな家々とその奥にすぐ見える山を見ていると涙が流れてきましたました。日本に 帰ってこれたことはもちろん、すごく嬉しかったです。しかしドイツのきれいな街並をしばらく見れないことを思うと少し寂しい気持ちになりました。 11ヵ月間私が確かにドイツで過ごしたことを実感しました。9月の始め、ケルン大学から成績表が届きました。春学期にとっていた授業の単位は全て取れていたということで、語学の面である程度の成果が出せたと思います。


終わりに

 私の留学生活は沢山の人たちに支えられていました。日本にいる大切な人たち、ドイツで出会った友達、タンデムパートナー、ケルン・ボン教会の人たち、NIKKOの定兼さん、ドイツ語学科の先生方、感謝しています。皆様の支えなしで私の充実したドイツでの生活は有り得なかったでしょう。ほんとうにありがとうございました。


外国語学部ドイツ語学科
白井 佳南

ケルンのカーニバル

ケルンのカーニバル

パリ エッフェル塔

パリ エッフェル塔


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