蘇州留学記 (N.T.)

N.T.


早いもので中国に来て一年が過ぎようとしている。来た当初は本当に中国の、そして中国人のすべてが信じられなかった。赤信号なのに堂々と渡る人や車、平気でそこら中にゴミを捨て、信じられないほど大声でまくしたてるしゃべり方。日本でいろいろ言われている中国人そのものだったからだ。正直この国に来たことをかなり後悔した時もあった。だがそれはほんの表面上に過ぎないということがすぐにわかった。本当に気さくで純粋な人々、よく笑い、よく怒る、本当の人間らしさみたいなものが中国に残っているような気がする。それはかつての日本にもあり、生活の変遷とともに失われていったものであろう。今、中国は急速に発展して来ており、単に表面のみならず人々の心もやがて変わって行くかもしれない。だが、出来ることなら中国人の持つ豊かな喜怒哀楽の心、本当の意味での人間らしさだけはいつまでも失わず持ち続けていて欲しい。

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