廣州留学詳情 (K.M.)

留学:Kさんの場合

K.M.


これは95年3月から97年1月まで、中国広東省広州市に留学していた一人の産大生の物語である……などと言うととぉーっても堅苦しいのですが、まあ、生まれ持った性格上そんな厳しい留学生活を送ったわけでもない奴の戯言とおもって、気楽にお読みくださいませませ。この手記が留学を考える人たちの何かの手助けになれば幸いです。

広州外語外貿学院について

白雲山と白雲空港に挟まれた地点にある、郊外の大学です。二年前に改称し、以前は広州外国語学院と呼ばれていました。地図には新しいものなら載ってます。(離れすぎて以前は載っていなかった。)現在、別の学院と合併したため、「広州外語外貿大学」と呼ばれる建物は3ヵ所もあり、タクシーの運ちゃんには外地人が多いので、ちゃんと「東方楽園北辺的外語外貿大学」と言わないと、別のところに行かれてしまうこともあります。(東方楽園は太秦映画村みたいな遊園地。でっかいアンディ・ラウとリー・リェンチェが迎えてくれます。)距離はかなり離れていますのでご注意を。広州人だと「以前的外語学院」でも通ります。


510421 中国広東省広州市黄石東路漢語部
Phone&Fax 0086-020-8662-7309

アクセス

空港からタクシーで約30元ほど。15分もあれば着きます。しかし初めて来る留学生はよくボラれて100元以上とられたという人も少なくありません。メーター通りの料金が正当な料金です。(荷物が多いとボラれることが多い。ぎゃんぎゃん文句を言ってメーター分だけ払えばいい。)
バスは市内まで約30分〜1時間。2、3路線があります。特に大学前はバス停の標識がないので(それでもバスは停まり、人が待っている)、初心者にはわかりにくく、乗客の多さに比例してスリも多いので、まずおすすめできません。週一回市内へのバスが学校で出してもらえます。無料なのですが、行きだけで帰りは自己解決です。

授業内容

初心者のA班から中級者クラスまでありますが、ほぼ随時の入学を許可しているため、どうしても下が広く、上は低くなってしまいます。(つまり学期途中の短期留学もOK)一番上のクラスで、京産の二回生ランクくらいの実力でしょう。老師方の水準は低くはありませんが、授業だけでは物足りないかもしれません。互相学習(相手には困らないが、北方人を捜すのは難)や家庭老師(学生もやってくれるが、老師に頼むのがベスト。ただし内緒のバイトである)で実力を深めましょう。
広東語クラスは希望人数(5人以上)が集まれば開講してくれます。しかしいつも初級班のみで中級班を開くのは困難です。でも私たちのようにかけ合えば、開くことも可能ですので試す価値はありますよ。普通語クラスでも週一の午後からの広東語講座へ参加できます。あとはほかの大学とほぼ一緒です。午前の授業と、午後の講座(自由参加)です。

料金

米ドルか元で支払います。レート換算は、中国は対ドル固定レート制です。多分今でも変わっていないでしょう。96年度は1年1600ドルでした。半年払いもできます。

宿舎

外事処招待所:二人部屋。3ドル(26元)/日。テレビと冷蔵庫はレンタルで45元/月(二人で折半)。ベッド、蚊帳、ふとん、天井扇風機、ユニットバス(お湯24時間OK。タンク式)、机、イス、ソファ、本棚、クローゼット、引き出し付サイドテーブル、ベランダ。一番古い宿舎で、中国人学生も住んでいます。夜11時に門限があり、サク(シャッターのようなもの)が閉められてしまうと、中に入れません。住んでいる人数が少ないのと、壁やドアが厚いので比較的静かです。テレビと洗濯機と共同電話(受信は呼び出し)は1Fに一つ。
部屋は留学生宿舎よりは広いです。ベランダがあるのがとてもいいところ。その代わり古い分汚いのは仕方ありません。電熱器は基本的に見逃してもらえます。(ここもテレビ、冷蔵庫、電話を標準装備して、5ドルにするという話も聞きました。)


留学生宿舎:二人部屋。5ドル(45元)/日。ベッド、蚊帳、ふとん、天井扇風機、ユニットバス(お湯24時間OK。タンク式)、本棚付机、イス、内線電話受信は市内・国際OK。送信は学内のみ)、テレビ、冷蔵庫、引き出し付サイドテーブル。一応門限は11時ですが、門を乗り越えることは可能。3Fは男性、2Fは女性、1F混合(無論部屋は別)です。外国人のみで留学生同士の交流が盛んです。(ほとんどがこっちに住んでいる。)その分宴会も多くうるさいとか、プライバシーの問題もありますが、寂しがりやの人はこちらの方がいいかも。3Fに洗濯機が3台。2Fに形ばかりの調理場(“電熱器狩り”に怒った留学生の要望で作られた部屋)。国際電話もかけられるカード専用電話が1Fにあります。


専家楼:二人部屋と四人部屋。5ドル(45ドル)/日。ベッド、蚊帳、ふとん、天井扇風機、ユニットバス(お湯24時間OK。タンク式)、本棚付机、イス、ソファセット、内線電話(受信は市内・国際OK。送信は学内のみ)、テレビ、冷蔵庫、引き出し付サイドテーブル、ベランダ、部屋によってはクーラー。リビング、キッチン、寝室からできてます。もともと外国人教師のために作られているので、内容は豪華。しかし敷地の奥に建てられているので教室に遠く、学友が身近にいないという欠点も。共同の洗濯機はありません。隣に専家楼食堂があります。(留学生食堂は他の二つの宿舎の近く)


新宿舎:97年1月現在建設中。おそらく留学生楼の設備にクーラーが付いたものでしょう。値段も高くなると思われます。大門の側にあるので治安面はよくないのではと思います。

留学生活

朝起きて食堂か部屋で朝食を取り、8時から授業。12時に下課して、昼食。学生食堂を利用する(打飯)なら早めに行くこと。13時半まで昼寝。昼の講義は曜日によって異なり、広東語・書道・太極拳・文化学習などがある。水曜日には市内行きのバスが留学生楼から出発するが、定刻前発が多い。講義のあとに夕食。夜は互相学習や自習、宴会。週末には映画(2元)がある。というのが普段の生活です。
休みのときは旅行に行く人が大半ですが、短期プログラムの授業を受ける人もいます。(中には英語科のに参加した人もいる)旅行などで長期に部屋を空けるときは、荷物をまとめて阿姨(寮の管理人)に預けていきます(有料)。
国際電話は電話所か学内数ヵ所にあるカード専用電話で直通コールができます。コレクトなら宿舎の共同電話からも可能。電話所では用紙に記入してデポジット(押金)を50元(国内長距離)か300元(国際)を払い、示されたボックスに入ってかけます。料金を支払うと押金を返してもらえます。商店でも電話ができます。
学内郵便局で国際便の荷物受取ができます。送るほうはできません(国内はできる)。市内のホテル内郵便局が一番便利でしょう。いつも人で一杯ですが、切手は各商店でも買えます。
大学弁公楼2Fと漢語部弁公室にFAXがあり、どちらも国際FAXもできます。送信に50元、受信に5元です。漢語部の方では送信ができないと言われることもあります。学内には書店を含め数ヵ所の商店(小売部)があり、南門外には市場(肉・魚・野菜・加工品・果物)があるので、基本的な生活用品はすべて学内でまかなえます。ラジオ、電熱器などの電気製品も機種を問わなければあります。

広州という街

97年7月1日に回帰されてしまった香港のほぼ向かい側、ついこの間まで華南一の大都市だった人口600万人の街です。「暑い、多い、高い」がこの街を形容する言葉としてぴったりでしょう。でも、これらの形容詞がなにも「悪い」ことを意味してるんじゃないですよ。人間が街を作れば自然とこうなるんですから。

最初のキーワード:「暑い」

地図見りゃわかる通り、沖縄より台湾より、ま〜だ南に位置してます。南国です。熱帯です。モンスーン気候で滝の如きスコールなんぞ降っちゃったりします。雪を一生見ないで過ごす人が大半です。だけど……それも4月から10月までのお話(それでも半年以上夏だなぁ)。11月は過ごしやすい秋(に近いもの)ですし、12月下旬から2月にかけては、詐欺のように寒い日が多いです。特に春節の頃は冷え込みます。セーターやオーバーは必需品。5℃より下がることは滅多にないようですが、北方と違って何の暖房設備もありません。暖房のない5℃はなかなかこたえるものですよ。そしてそして特筆すべき3月!夏の前に来るもんと言ったら「梅雨」ですね。しかしそれがただ雨が降るってんなら可愛いもの。なんと恐ろしいカビとの格闘が待っているのです!着古しのダンガリーシャツ、タオル、チョーカーの皮紐、起毛の皮靴、塩ビのペンケース、ぜーんぶカビのエサになってしまいました……ペンケースを洗剤で洗ったのって初めてです。いやー、壁の黒い染みがカビだとわかっていたんですけどね。まさか“水とりゾウさん”3ヵ月用が1ヵ月で一杯になっちゃうなんてねぇ。大切なものは持っていかないようにするか、密閉容器と乾燥剤持参かのどちらかです。ちなみに“水とりゾウさん”タイプの乾燥剤は現地のスーパーでも売ってます。日本の百円ショップのほうが安いけど。

次のキーワード:「多い」

人。車。物。おいしい食べ物。何もかもがあふれかえってます。
人口600万人とはおそらく登録された純広州市民の数でしょう。外地人の打工仔(ダーコンジャイ。田舎から来た出稼ぎ労働者のこと)やら、観光客やら、外国人も合わせると、きっと1000万人ぐらいいるんじゃなかろうか……中国の都市は大体どこでもそうだけど、これ見てると「一人っ子政策」って却って人道的かもしれないと思ってしまいます。街にあふれるのが人ならば、気分は悪くても公害はありません。しかし意外と多いのが車。それも高級外車ばかりが走ってます。私家車(自家用車)を持っている割合はほんのわずかですが、母数が違うもんで、見ためにゃ日本の状況と何ら変わりはありません。(光化学スモッグばりばりよ)。でもって金あるもんだから、素人の私でもわかるよな高っかいヤツばかり。きっとあの中に蛇頭経由で入って来たゆーめー人の盗難車とかがあるんだろうなぁ。だけど一番の疑問点。公安!モンゴルの大平原やチベットの山ン中ならともかく、なぜ広州の街中で三菱パジェロが必要なんだッ!?  そんな金があるんなら留学生のリターンビザを190元から250元(日本人の場合)に値上げすンじゃねぇッッ!!!!!


物。何でもあります。リジョイ、ウィスパースリムも学校の売店で売ってます。街中の商店だったらビダルサスーンでサスーンクオリティも上げられます。天河地区のジャスコに行けば納豆も手に入るし、友誼商場前広場ではタコ焼き(商品名「東洋焼」)も食べられます。明治のアイスも好きなだけ食べられるし。お値段は日本よりちょびっと安い程度です。服は香港カジュアルブランド(U2、G2000、ボッシーニ、ジョルダーノなど)がおすすめ。Tシャツ30元からあります。品質は日本並み。その辺の市場でも売ってますが、質が悪い以上に私の好みには合いませんでした。広州に行くときは香港みたいに小さなリュックにパスポートとお金だけ入れていっても十分です。花園酒店の隣にセブンイレブンができたし。でも土地感がないと広すぎてわからないかもしれませんので、ご注意を。
「食在広州」の言葉通り、この街で食べ物に困ったという話は聞きません。広東料理は日本料理のように薄めの味付けで素材を生かすことが重んじられ、海鮮も多く使われます。(日本の「中華」は広東料理がベースじゃないかと思う。)蛇や犬などゲテモノ食いでも有名ですが、そんなものはやっぱり普段の料理ではなく、値段も高いです。食べたくない人は食べずに済みますから安心してください。旅行ではよく「中華料理の油に胃をやられた」経験があるでしょうが、それは高級料理ばっかり食べているからで、ごく普通の食堂の料理はせいぜい「王将」並みかと思います。値段のことを気にするとわりと野菜中心になります。美食もできるけど粗食もできるわけですね。もちろん中華(これも各種ある)以外にも;


西洋料理:高級ホテル以外では期待しないように
朝鮮料理:中国の朝鮮族が出している店。焼き肉屋もあり。韓国人留学生に教えてもらおう。おいしくて安い。
日本料理:怪しい香港系日本菜、韓国料理と一緒の寿司バーも多し。日本企業派遣員の奥様たちに教えてもらおう。日本人経営もある。高いのが難。
ファーストフード:マクドナルド、ケンタッキー、大家楽(香港系)を始め、各国の店がうじゃうじゃとある。モスは97年1月現在なし。(上海にはいっぱいある。うらやましい)と、そろってますし、その他の国の料理もあるようです。(まあ各国料理巡りがしたきゃ香港行ったほうが早いですけど。)でもやっぱりなんと言ってもその国の料理が一番!せっかく中国にいるんですから各地の中華料理を存分に味わってください。以下に超おすすめのレストランを……
「小洞天」:農林下路重慶大厦。四川菜。本場の四川の味が楽しめることで有名。遅く行くと座れないほど地元民で混んでいる。ここの「八宝茶」と「茶師父」のパフォーマンスが楽しい。本当に四川並みの辛さなので、辛いものがだめな人は遠慮したほうが無難。
新彊料理:バス停三元里近く。店名は知らない。ウイグル文字の書かれた青い看板のお店。三元里は新彊から来たウイグル人が多くいる地区でイスラム料理店が並ぶ。しかし治安も少々悪く、夜にはクスリ売りが出るので注意。広東外語外貿大学に留学する人は易老師に連れていってもらいましょう。日本人には珍しい上に、味は絶品。スパゲティのような長〜〜〜〜〜い麺がおすすめ。ナンのようなパンもあり。
「生記酒家」:広州料理。本店は越華路の北京路よりの角。いくつか分店あり。白雲空港の側、機場路新市店が広東外語外貿大学に近い。トリ料理が自慢だが、朝・昼・夜の飲茶も手頃な値段で楽しめる。朝行くのが品数も多くてベスト。飲茶は人数集めていきましょう。たくさん食べれて安くあがる。昼飲茶は朝の残りが多くおすすめできない。
西貢:海鮮料理。珠江沿いにある、なん軒もの海鮮レストランが集まった場所露天のビアガーデンのような雰囲気です。各お店の前に置かれた生けす(箱)の中から生きたままの魚介類を選び、量を注文するだけ。値段交渉は要らない(札に書いてある)ので楽です。料理法は店におまかせですが、カニは炒めるもんじゃなくゆでるもんだっと言う方はその旨注文してもいいと思います。
「天天楽」:広州料理。広東外語外貿大学北門出て右曲がる。留学生ご用足しの家庭的な食堂です。安くて量があり、味もいけると好評。虫豪油撈麺(牡蠣油で炒めた焼きそば)が個人的に好きでした。
「食最鮮」:広州料理。広東外語外貿大学北門角。ここも安くてうまい人気の店です。鉄板焼き(鉄板牛肉、鉄板鶏肉など)と、釜飯(ゴッポウまたはポウジャイファン)がおすすめです。

最後のキーワード:「高い」

広州は大都市です。何でもある代わり、物価も高いです。と言うか、安いものから高いものまでの幅が広いのです。食べ物でも、5元くらいの盒飯(ホカ弁に似て非なるもの)や2〜3元で食べられる学食から、一人300元のスープ、800元のフルコースまでさまざまですが、普通は街中のレストランで30〜50元くらいでしょうか。服も10元Tシャツもあれば、ブランド物もあります。
バスは市内は1元。近郊は2〜3元。ミニバスは3元〜。タクシーは7元〜。(タクシーには数種類の料金体系があります。)深土川や珠海行きのバスは50元〜(各社あり)。香港へは150元〜200元(各社あり)。主なホテルが発着所になっています。
中国は何も夢のように物価の安い国ではありません。かえって価格破壊の進んだ日本のほうが、安いことだって多いのです。百円ショップに並んでいる品物と同じ品質の物を同じ値段では買えません。電気製品も数シーズン前のものが定価で売られてます。まあ日本でも手に入る外国製日用品なら大体三分の二くらいの値段です。また中国製品は「安かろう悪かろう」というものが多いので、よく見ないとダメですし、明らかな偽物もいっぱいあります。でも値切る楽しみもありますので、いろいろチャレンジしてみてください。

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