京都産業大学 法学研究科法政策学専攻 開設記念講演会が開催されました

 京都産業大学では平成25年度から開設される法学研究科法政策学専攻を記念し、2012〜2013年にかけて有識者、NPO、NGOボランティア、地方自治体関係者を招聘して、様々なイベントを計画している。その第一弾としてNPO法人「里山人」との共催で、去る7月7日にむすびわざ館で記念講演会を開催した。当日は梅雨空にもかかわらず多くの参加者に真新しい建物に足を運んで頂いた。

 最初に法学部長 戸田五郎教授(国際法)から「社会が急速に複雑化、国際化する中で、高度な研究・教育の場を設けるのは大学の急務であり、この為、本学でも平成21年に開設された法政策学科の生徒が卒業する来年度を目処に法政策学専攻を開設する運びとなった。当専攻では法律学、政治学、政策学の融合を地域と国際という2つの領域で行う方針であり、特に理論性と臨床性に基づいたカリキュラムを用意している。そして、京都市内有力8大学が参画する『地域公共政策士』プログラムと連動し、同資格の取得促進を目指していく。また、国際化の流れを受けて、国際公務員等のグローバル人材を育成するとともに、近年、日本の地域で見受けられる国際化進展を受けて、グローカル人材も育成していく。これらの受け皿としてNPO組織と大学とのコラボレーションの場を当専攻は構築していく」旨、挨拶があった。

 続けて講演会第1部として、講師の京都府綾部市の半農半X研究所代表 塩見直紀氏、宮津市のNPO法人「地球デザインスクール事務局長」清水睦氏から「地域再生と新しい価値の創造」と題して基調講演を賜った。まず塩見氏にはご自身の著書「半農半Xという生き方」を貫く理念について語っていただいた。「半農半X」とは持続可能で小さな農業生活を軸に、自らの「エックス(天職・ミッション)」を見つけて現代社会を生きるという塩見氏の考えで、地域、現代社会、個人、自然という視点から講演していただいた。
清水氏はNPOである「地球デザインスクール」の活動をお話しいただいた。地球デザインスクールは宮津市の廃校になった小学校の分校を拠点に、幼児、小中学生、発達障害のある子供たちを中心に、「自然に学び、自然と遊ぶ、」という環境教育を通して、子供たちが手作りで成長発展していくことを目指す独自のプログラムを実践しており、具体的な活動に関しての説明がなされた。お二人の講演の基底に存在していたのは、自然、地域、人とのつながりの大切さであり、現代社会が忘れ去った人間に大切なものを取り戻す試みの提示であった。

 最後に第2部「大学教育と地域社会の連携」と題して、法学部中谷真憲教授(公共政策論・政治文化論)を交えて講演者とのフリートーキング、会場参加者との質疑応答が行われた。大学は人材、理論が豊富であり、NPOはフィールドを有しているので、この両者の協働は有意義である旨の意見が出された。こうして盛況のうちに記念講演会は終了した。

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