リレー講義「公法特殊講義(テロ対策と法)」を開講

 本年4月に「安全・安心な社会の実現」をテーマに掲げる法政策学科を開設した法学部では、今年度秋学期、安全な社会の実現にとって重要な課題のひとつである「テロリズム対策」を多角的に学ぶリレー講義「公法特殊講義(テロ対策と法)」を開講します。

 2001年の9.11テロ事件以来、国際的にテロに対する戦いが進められ、各国でのテロ対策法制の整備が進みました。それによって、各国でテロが未然に防止されるなど、安全に対する脅威が軽減されたのは確かです。しかし他方で、テロ対策のために、日常的な市民生活にさまざまな不便が生じたほか、テロ容疑者や彼らと接触した人々に対する厳しい監視が続けられるなど、身体の自由やプライヴァシーへの重大な制限が問題視されています。そして、本年1月に発足したオバマ政権は、テロとの戦いに関しておおきく政策を転換させ、欧州諸国などでもこれまでのテロ対策を再検討する動きが見られます。諸国のテロ対策法制は、現在、おおきな曲がり角に立っているようです。

 このような状況にあるテロ対策法制を多角的に学ぶために、この講義では、慶應義塾大学と警察大学校が共同で設置している「市民生活の自由と安全」研究会(代表:大沢秀介・小山剛慶応義塾大学教授)の協力のもとに、各国のテロ対策法制を研究している気鋭の研究者と、警察で実際にテロ対策に当たっている実務家とに、多様な観点から講じてもらうことにしています。具体的な内容と講師は次のとおりです。また、公開でのミニ・シンポジウムも予定しています。

 こんにち、テロ対策は警察業務の重要な課題となっています。また、警察大学校の先生方のお話を聴けるのは、現役の警察官にとってもめったにない貴重な機会です。警察官志望の学生諸君は、ぜひこの講義を受講してください。
 2回生以上配当、土曜日2時限、4号館3階409教室(教室については時間割表から変更があります)

10月3日 小谷順子
(静岡大学)
アメリカにおける外国人テロ対策
10月10日 板橋 功
(公共政策調査会)
国際テロの情勢と対策
10月17日 新井 誠
(東北学院大学)
フランスにおける自由と安全
10月24日 山本龍彦
(桐蔭横浜大学)
アーキテクチャによる管理と法
11月7日 大林啓吾
(帝京大学)
情報をめぐる自由と安全
11月14日 上代庸平
(中京大学)
安全確保権限の分散と統合
11月21日 富井幸雄
(首都大学東京)
テロ対処における軍と警察
11月28日 岡田順太
(東北文化学園大学)
諸刃の人権――結社の自由と治安・秩序
12月5日 公開
ミニシンポジウム
基調講演
金山泰介
(警察政策研究センター)
 日本におけるテロ情勢と対策
コメント
大沢秀介・小山 剛
(慶應義塾大学)
12月12日 横大道聡
(鹿児島大学)
テロ容疑者の裁き方
12月19日 佐藤義明
(成蹊大学)
テロ対策と国際法
1月9日 藤井樹也
(成蹊大学)
アメリカにおける銃規制と自由・安全
1月23日 中川正浩
(警察大学校)
我が国における組織犯罪対策法制の概要

 なお、警察実務家によるリレー講義として、ほかに、「刑事司法と外国人」(2回生以上配当、火曜日5時限、4F演習室)も開講されます。警察官志望の諸君には、この講義もおすすめします。司法外国語プログラム登録学生以外の諸君が履修する場合には事前面接が必要ですので、9月24・25日に申請書を教学センターまで提出し、25日(金)13時30分からの面接を受けてください。詳しくは掲示またはPOSTを見てください。

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