保護者の皆様へ 学部長メッセージ

人格の陶冶を目指して

法学部学部長

岩本 誠吾

 保護者の皆様、ご子弟のご入学、誠におめでとうございます。本日の良き日を迎えるまでには、それぞれのご家庭で幾多の泣き笑いがあって今日を迎えたことと拝察いたします。心よりお喜びを申し上げます。奇しくも、ご子弟が入学されたこの日から、新たな「出会い」があり、保護者の皆様と大学との間に「ご縁」ができたわけでございます。

 

 そもそも、大学は、断片的・表層的な専門知識を学生に付与するだけの教育機関ではなくて、高度な専門知識の修得とともに、その成立プロセスやその根底にある社会や人間本性に関わる真理を追究する最高学府であります。そこでは、教員との真剣な対話や学生同士の熱き議論が行なわれ、お互いが切磋琢磨している中で、学生の人格が形成されていく修練の場でもあります。言い換えれば、大学は、専門知識の修得もさることながら、急激な変化を遂げる現代社会だからこそ、学問の研鑽を通じてしっかりとした人格を陶冶する教育の場でなければならないと考えます。

 

もっとも、大学は、時代や社会と隔絶した「象牙の塔」であってはならず、社会の要請に対応し、より良き社会作りに貢献する存在でなければならないことは言うまでもありません。法学部も、時代状況に求められる人材の育成を念頭に、専門職業人を要請する専門職プログラムの設置や法政策学科の新設など様々な改革を進めているところであります。このように、私たちは、ご子弟が入学されて、在学期間中に強靭な自己を形成するとともに、社会のニーズに合致した能力を修得できるように教育システムを整えております。

 

 ここで必要不可欠なことは、学生自身の積極性です。どれほどすばらしいシステムがあったとしても、それを生かすか否かは、当然のことですが、学生自身によります。新入生諸君へのメッセージでも述べたことですが、高校までの教育と異なり、大学は学生の自主性を尊重しますので、学生自身が能動的に行動しない限り、教員との対話も学生同士の議論も始まらず、自己実現も困難となります。とはいえ、入学当初、誰もが大学のシステムに慣れず、戸惑い、想い描いていた大学生活と現実とのギャップに悩むことでしょう。大学生活に慣れたとしても、自分を見つめ直す時期が訪れ、立ちすくむかもしれません。このような悪戦苦闘の過程そのものが、自己実現への道であり、高校卒業直後の「子供」から社会人として巣立つ大学卒業直前の「大人」になる変遷過程であると言えましょう。

 

 皆様には、ご子弟がどのような大学生活を過ごすか、大いに関心をもっていただきたい。過干渉はよくないですが、本人の自主性を尊重しつつ、その成長を温かく見守ってください。と同時に、大学や法学部を是非とも近い存在と考えていただき、ご相談、ご意見又はご要望をお聞かせ願いたいと存じます。というのも、皆様と大学とは、ご子弟の入学を機に「ご縁」ができ、双方とも密なる連携を取りながら、立派な社会人となるご子弟の姿を心から思い願うサポーター仲間となったからであります。

 

 保護者の皆様方には、より一層のご理解とご協力を心よりお願い申し上げる次第です。

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