総合安全保障論

安全保障や危機管理を多角的・総合的に考える

講義の趣旨・目的

日本が直面するさまざまな脅威

 第2次世界大戦後の日本は、世界でもっとも治安の良い国といわれてきました。しかし、冷戦終結後のわが国の内外の環境は変化しつつあります。

 たとえば、北朝鮮のミサイルや核兵器の開発、中国の軍事力強化や原子力潜水艦による領海侵犯、中国とロシアの大規模な合同軍事演習など、わが国の周辺には、わが国の防衛や安全保障に対する脅威が存在しています。また、世界規模での国際テロがわが国も標的にしていると言われます。

 交通手段が発達し、人や物の国際的な移動が活発になったことで、わが国での外国人犯罪が増加し、新型インフルエンザなどの新しい疫病ももたらされるようになりました。さらに、世界的な異常気象が続き、大地震や台風・集中豪雨による水害など日本各地で災害が多発するようになりました。原子力発電所の事故・地震被害も実際に起こっています。

 現在の日本は、国内外から、さまざまな安全に対する脅威にさらされています。

いかにして安全を守るか

 このようなさまざまな脅威に対して、いかにして国際平和を維持し、いかにしてわが国を防衛し、いかにしてわたくしたち国民の生活の安全を守っていくことができるのでしょうか?

 この講義では、毎回、安全保障や危機管理の第一線で活躍されている下記のような実務家の方々を講師としてお迎えして、現在まさに問題となっているさまざまな脅威とそれへの対策をお話しいただきます。通常の大学の講義では聞くことができない、貴重な現場の体験を聞くことができます。それをつうじて、安全の問題を多角的・総合的に考えることができるでしょう。

対象とする学生

 この講義は、とりわけ、外交、防衛、治安、防災関係の仕事をしたいという公務員志望の方を対象としています。また、将来国際ビジネスに携わりたいという方も、外国での危機管理が職務上重要な課題となってきますので、ぜひ受講していただきたく思います。もちろん、安全保障や生活の安全に関心をもつ方も広く対象としています。

講義の構成

 2011年度秋学期の授業は、次のような講師陣と内容で行われます。

所属 講師 タイトル
1 大学研究者 (授業担当者) 岩本 誠吾 「総合安全保障論」入門
2 防衛省 陸上幕僚監部防衛調査官 梅田 将 一等陸佐 陸上自衛隊の概要
3 外務省 軍縮不拡散・科学部通常兵器室上席専門官 柳井 啓子 氏 軍備管理・軍縮について
4 入国管理局 大阪入国管理局審査監理官 福崎 守 氏 入局管理業務について
5 防衛省 海上幕僚監部防衛班長 福田 達也 一等海佐 海上自衛隊の概要
6 NPO NBCR対策推進機構理事長 井上忠雄氏 現代危機管理論―テロ対策を中心にして―
7 警察 京都府警サイバー犯罪対策課課長補佐 木村 公也 氏 サイバー犯罪について
8 防衛省 航空幕僚監部防衛調整官 高橋秀雄一等空佐 航空自衛隊の概要
9 海上保安庁 海上保安学校訓練部長 一本木 幹雄 氏 海上保安業務について
10 防衛省 陸上自衛隊第3師団 番匠幸一郎師団長 《特別講演会》未定
11 日本赤十字社 国際部国際救援課長 森正 尚 氏 赤十字活動について
12 NGO 難民を助ける会 穂積 武寛 氏 NGO 活動について
13 防衛省 統合幕僚監部 未定 統合幕僚監部の役割について
14 大学研究者 京都産業大学鳥インフルエンザ研究センター 大槻 公一 教授 新型インフルエンザと口蹄疫の防疫について
15 大学研究者 拓殖大学海外事情研究所 佐藤 丙午 教授 武器輸出管理問題

関連する他の講義

 この講義で論じられる安全保障については、法的・理論的な面から学ぶ「国際法E(国際安全保障法)」「国際法F(国際人道法)」や、政治的・歴史的な観点からの「日本外交史」「西洋外交史」「アジア政治外交史」などの講義が関連します。

 また、実務家教員(外務省元大使)による講義「人間の安全保障論」「グローバリズム論」「平和構築政策」が開講されています。法政策学科では、「フィールド・リサーチ(人間の安全保障)」でより現場に接近した学びを得ることもできます。