田村 崇 さん

略歴

埼玉県立川口北高等学校卒業
外国語学部言語学科イタリア語専修 1996年3月卒業
イタリア アレッツォ県 テラヌォーヴァ ブラッチョリーニ在住
オステリア イル カント デル マッジョ勤務
(2007年12月現在)


 イタリア語を学ぶきっかけは、英語以外のできればマイナーな言葉で将来役に立てばいい、程度のことしか考えていませんでした。そこで僕が選んだのは好きな世界史によく登場する国イタリア。当時の先進主要7カ国にありながら大学でイタリア語を教えていたのは私立で京都産業大学だけだったと記憶しています。これは都合が良かった。なにせイタリアといえば絵画、建築、宗教、科学、文学、映画、音楽、ファッション、スポーツなどなど、よりどりみどり、とても楽しそうでしたね。
 1回生の夏に2ヶ月かけてイタリア各地をまわった後、ナポリにて1ヶ月語学学校に通いました。自分としては勉強の成果を試すくらいのつもりでしたが、はじめの頃は電車の切符を買うのもままならなかったものです。パックパッカーの貧乏旅行でしたが、一人で身軽にイタリア各地シチリアもサルデーニャにも行って、いろいろな人と出会いました。楽しいことも苦い経験も、はじめて触れる外国の文化であればこそ、どれも新鮮でした。このときに次は旅行ではなく、なにかをするために、もう一度イタリアに来てみたいと漠然と思ったのです。

 

 大学を卒業してから3年後、念願だったイタリアへ料理研修生として行くこととなり、トスカーナのアペニン山脈の麓にある街TERRANUOVA BRACCIOLINIに住みはじめて8年。この街の郊外に私の働いているレストランIL CANTO DEL MAGGIOがあります。8年前にこのレストランにやってきた頃は、なにも知らない研修生だった僕も、経験を積んでレストランと共にゆっくりと成長してきたように思います。
 私は学生としてあまり成績の良くない方でしたが、自由に自分の好奇心に浸ることができた大学生活があればこそ、今の自分があると思っています。せっかく働くのだから、興味のあることに関わっていたいものです。大学の講義の中から、もしくはサークル活動やアルバイトを通じて、全国から集まってくる人達との出会いから、なにか見つかるもしれない、自由に自分の知的好奇心を満足させられる、それが大学生であることの意義であると私は思います。

 
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